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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
鶏声人語

多国籍コンサル企業が、AWの世界に進出

 平飼いの定義と第3 者機関による認証を求める動きもとは、前月号の本編に掲載したタイトルである。そもそもこの記事の主張したい点は「平飼いの鶏舎」の定義を平飼い卵需要が伸び、かつ高相場で推移している時だけに、なんでも平飼い、鶏舎を認めることは消費拡大の意味からもかつ消費者に間違ったイメージを植えつけることになりかねないため、現行のこの時期を除いて平飼い卵のイメージを定着される時は無いとの判断によるものである。現在、平飼いの“ 定義„と“ 認証„について3機関と詰めを急いでいるといわれる。3機関の名称は現行において発表をしてはいない。情報を整理すると、一つは環境、福祉、国際協力をメインとするNPO 法人である。あと一つはアメリカ、ヨーロッパ、日本でアニマルウェルフェアの普及に取組んでいるNPO、三つ目は、農林水産省の有機JAS 登録認証機関である。一方、最近の動きとして食品企業と生産者向けに持続可能なケージフリー卵生産に関するサポートと専門知識を提供するシンガポールを拠点の多国籍コンサルタント会社がわが国へ進出する。同社ではゲージフリー卵生産を拡げるだけでは無く、高い家畜福祉基準を満たす生産者に金銭的なインセンティブを提供するとしている。来るものが来たといった感を受けるのは編集者だけであろうか。

「鶏の研究 2021年8月号」 目次

鶏声人語

平飼いの定義と第3者機関
による認証を求める動きも


 平飼い鶏卵が不足気味とは鶏卵流通業者の話しである。一方、飼料メーカーの鶏卵担当責任者の間から耳にすることは、平飼いの定義を大至急確立しなければ、相場に影響を与えると危惧する。一方、有機JAS卵を生産する認証事業者は、一つの提案として有機畜産物の日本農林規格の飼養及び生産の方法についての基準を上げる。内訳は次の通りである。①家畜が横臥することができる敷料を敷いた状態又は土の状態の清潔で乾いた床面を有すること②適度な温度、湿度、通風、換気及び太陽光による明るさが保たれる頑丈な構造であること――すなわち開放鶏舎で鶏が砂あびができることとなる。有機JAS 畜産物の家禽の項では、さらに諸事項がついているが、市場で売られている平飼い卵の開放鶏舎ではそこまで求められていない。関係者が心配する点は、今の内に平飼いの定義を整理して、第3 者機関の認証がおこなえるように制度化すべきとの声に基づいているようだ。アニマルウェルフェアの第3 認証も具体的な型で進んでいるだけに、各部門での整理が必要になって来る世の中になって来た。

「鶏の研究 2021年7月号」 目次


鶏声人語

フードロス解決は
地球環境を守る


 フードロス問題は、地球環境を守るために、流通業者、生産者、加工場、そうざい業等のすべての業種、業態が取り組まなければならない。フードロスを無くすためには、個人や企業からの食品寄付行為、飼料化等さらには表示問題のあり方の検討等対面的なとらえ方を実施することが、フードロスに繋がる。捨てる行為は企業が身を守るための本能的なものである。最近では世の中の弱者といわれる人達に対する寄付行為は上からの目線で無く、民主主義を継続さすための人間の知恵だという学者もいる。この流れの延長線上に循環型社会構築に向けての第一歩になるとの考え方が生まれて来た。コロナ以降世の中は、従来の考え方では、通用しなくなるといったとらえ方が世の中を覆い疑心暗鬼な世界へと誘導される。この動きに対し、良く耳にする言葉が、人間が生きて行くうえで重要な゛絆゛であり゛信頼゛そして゛平等゛となる。コロナ後の人間社会を考えた場合、次から次へと襲ってくる問題を冷静に解決することがよりよいSDGS の考え方に近づけるのかもしれない。

「鶏の研究 2021年6月号」 目次


鶏声人語

家保の獣医師の
発言は重い


 飲食業界への時短要請ならびにコロナ対策はきめが細かく科学に裏付けされた対応になり、山梨県の飲食業界へ対応策は学者の声を借りれば教科書に載ってもおかしくない程、理にかなった対策だという。その結果が発症件数にもなってあらわれ、大都市の知事は見習うべきだとも…。人の命を守ることが首長の責任であるとするならば、良いものはすべて導入し、環境にあった対策を講じる必要がある。鳥インフルエンザの異常発生についても既存の概念を打ち破ることが特に必要になって来る。なぜ、なぜ、なぜが消えたら目に見えぬウイルスに負ける。業界でいわれて来たことは、平飼い鶏舎、開放鶏舎からウインドウレス鶏舎への立替要請が日増しに強まり、ウインドウレス鶏舎絶対論すら流れた。今回発生した鶏舎を見るとウインドウレス鶏舎からの発症が多かったことである。このことは何を意味するのか。指導的立場にある家保の獣医師の発言によってどんなに傷付いた生産者がいたのかである。すべての獣医師とは思えないが、影響力が大きく、権限をもっているだけに現場をもっともっと知ってもらいたいものだ。

「鶏の研究 2021年5月号」 目次

鶏声人語

発生原因がどこにあるか
発想をかえて追求を


 コロナ疲れと鳥インフルエンザ疲れのダブル疲れが業界を襲い重い空気をただよわせる。コロナウイルスは3 月に入っても変異しながら静かに再々拡がる傾向にある。一方鳥インフルエンザの発生は3 月の声を聞き静かとなった。コロナウイルスとの斗いは100 年に一度あるか無いかといわれるだけに負けると深刻な傷をおう。一方鳥インフルエンザウイルスは特別なことが無い限り人には直接影響を与えず、鳥そのものがおかされ、命を落す。自然界の恐ろしさでもある。最近ではシベリアの永久凍土が溶け出し未知のウイルスが新たな疾病を引きおこす危険性があると報じる。この直接的要因は地球温暖化によるもので生態系そのものを根底からおびやかし、地球上から生物を削減させる可能性があるとも。昨年11 月から今年にかけての高病原性鳥インフルエンザの異常発生は何を意味するのか。今回の発生は従来の発生に比較しどこが違うのかである。ここまで被害が莫大だと、従来のような説明では説明がつかない。原因がどこにあるのか、発想を変えて追求する必要がある。


「鶏の研究 2021年4月号」 目次

鶏声人語

5月前半までAIの発生に注意
例年に無い異常発生数


 春一番が吹いた関東地方。北陸、東北、北海道、山陰地方、九州は降雪に泣く。自然界は何を人間社会に恐っているのか知らないが、ウイルス対人間の戦いは年が明けても続く。コロナの発生は全世界に及び、2 年目の春を迎える。鳥インフルエンザ(以下AI)は2020 年11 月5 日に香川県で第一号が発生した。12 月2 日には宮崎県を恐い、滋賀県へ飛び火し、24 日には32 例目となる大規模養鶏場への発生となった。2021 年に入っても発生は続き、終息する気配は感じられない。各種対策を官民あげて講じているのが、どこの養鶏場から発生してもおかしく無い状態が続く。AI の発生による減羽は鶏卵相場へどのような影響を与えるのか注目が集まるが、1月27 日現在あまり効果が見られない。卵価低迷と飼料の値上げが重なり経営基盤は弱体化が進んでいる。今後はAI 発生が経営面にどのような影響を与えるのか注目が集まる。目に視えない敵は誰をも恐れることなくわが道を進むだけに、ただ通りすぎて行くのを待つしか方法がないのかもしれない。研究者のなかには、4 月、5 月前半まで発生が続くと警告を鳴らす。

「鶏の研究 2021年 3月号」 目次

鶏声人語

生きもの商売の怖さを
鳥インフルエンザは教える


 昨年から今年にかけての鳥インフルエンザの発生は西日本地域から東日本地域に飛び火し、業界全体が恐怖に襲われた。発生当初業界ではオーバーな表現をすると対岸の火事だと見ていたものが、予想以上に西日本地域の各地に拡散した。発生の勢いは、中部地域、関東地域に拡大し、その勢いは下火になるどころかさらに燃え盛る傾向にある。1 月、2 月、3 月は厳冬期を迎え発生するには好環境な時期を迎え、気を抜くことができない。鳥インフルエンザの発生は、当然物流部門にも影響を与え、売り場確保のための斗いは続く。笑いの陰に涙があり、その逆も生じているわが業界。業界に大きなアクシデントが発生しない時には驚く程の動きもないが、今回のように各地で疾病が発生すると、山が崩れ、その崩れた後地に新たな山が誕生する。生きもの商売とは病との斗いであり、一見平和で、一つことが起きると商売の怖さを教える。

「鶏の研究 2021年2月号」 目次

鶏声人語

過去味わったことの無い程の
試練を与えられるか


 自然界は人間社会に過去味わったことがない程、大きな試練を与える。100 年に一度の発生といわれる2020 年の新型コロナウイルスの人間社会への攻撃。家畜の世界では2020 年10 月から鳥インフルエンザが発症した。1 月、2 月、3 月の厳冬期を迎えるだけに気の抜けない状況が続く。コロナ、鳥インフルエンザとも対策に限界があるだけに、問題は深刻である。2021 年がどのような年になるのか、神のみぞ知るでは許されない環境下にあることは事実である。

ブロイラー業界強く、
採卵業界弱い環境


 本稿は12 月上旬に執筆しただけに、2021 年のブロイラー、鶏卵の価格について触れることは大変危険性を含んでいるが、業界の声としてブロイラー強含み、鶏卵弱含みで推移するといった見方が強い。1~3月期の飼料価格は環境からいって値上げとなる。コロナで経済そのものが痛み続けているだけに、忍耐の期間が続く。

「鶏の研究 2021年1月号」 目次

鶏声人語

養鶏とは力の強い農業
コロナが教える今


 2020 年(令和2年)、なんと早くも新しき年を迎えようとしている。コロナによって、世界中の動きが止まった2020 年。アフターコロナ、ウイズコロナがはやり言葉のように世界中を乱舞。現在も継続している。コロナ禍によって大幅な利益を出した企業もあれば、上場企業で明治35 年創業のアパレル業界大手の企業が、東京地裁から10 月末付けで、民事再生手続きの廃止を受けるといった信じがたい動きが露呈した。この判決によって破産手続きに移行する。赤字の代名詞となったのが航空産業と鉄道であり、飲食関係であった。一方、食品関連で見ると、業務需要の大幅減落により、負の連鎖とでもいえる現象が表れている。規模が大きければ大きいほど、中小事業者は影響を強く受けている現実がある。食品業界の負の連鎖は想像以上の速さで、末端へと流れ込む。養鶏はこの流れにどのような立ち位置となっているのか。養鶏産業は生き物の上に成り立っていることを忘れてはならない。たとえ、飼育環境がシステム化されコンピューター制御で成り立っているとしてもである。周辺に大手加工産業がいたとしても。特に卵産業は畜産業界の中でも特異な立場にある。生で食する畜産物は卵をおいて他にはない。すなわち、口と直結する食材であり、生産者の意思が一つになった時、力を発揮する。強い力を持った産業であるといえる。

「鶏の研究 2020年12月号」 目次


鶏声人語

AWへの質問深堀の傾向
相談窓口の設置も


 コロナの陰にかくれアニマルウェルフェアの団体から、業界への質問が投げかけられる。この現象は過去にもあったが、質問内容が深堀され、返答に困惑する企業もある。高度に進化する養鶏産業にあって、経済合理主義が横たわる矛盾点も生じている事実もある。一方では、あってはならない事も発生していることも事実。養鶏界で異口同音にいわれることは、団体からの質問を真正面から答えていくと、経済面から経営が成立しなくなると。業界の相談窓口の設置が可急的速やかに求められている。アニマルウェルフェアの団体も、攻撃的質問を良しとするのでは無く、より建設的かつ質問の内容について真実を回答し解決できるような環境整備も必要では無いか。吊し上げ的発想でいくと、人間は建設的な意見を発言できなくなる。人間にとっても、家畜にとっても幸福の環境とは何かを議論しなければ、前へは進まない。一歩一歩問題点を解決することこそが大切であると海外のAW 関係者からお知られる。弊社が25年前からオーガニック畜産の先進国を毎年視察さらに3 年前には、アメリカ、日本、ヨーロッパにAW の活動拠点を置く団体の協力を得てイギリスでAW のレクチャーを受けた。その結果は過激なものでは無く理整然とした考え方に対し共鳴した。これこそが、大切なものである。

「鶏の研究 2020年11月号」 目次

鶏声人語

静かに変動する養鶏界、
目をさませば地図は変わる


 コロナの影響とは思えないが、地殻変動は徐々に進む。その地殻変動は、採卵鶏生産部門に限らず、周辺産業でも発生し、規模的にも大きいだけに今後業界に与える影響は大きいものと推測される。過去に今回のような動きはあまり無かっただけに、今後の動静に注目が集まる。地図が当然塗り替わり、その結果、泣くのは誰かということになる。一連の動きを静かに見守ってきた編集子にとって、ただただ驚きであり、事業は生き物であることを痛感した。

養鶏業界の不況は己が招いた結果

 引きこもり需要が過ぎると相場が急変し、東西両相場とも泣き相場となり、年内泣き相場で推移するといった見方も出てきた。当然のこと、鶏卵価格安定基金の出動も終焉を迎え、最悪の事態を迎えるといった悲壮感が伝わってくる。コロナによってほとんどすべての産業がマイナス状況下だが、養鶏業界の不況は、生産者自身の問題から発生する。寡占化を世の常であり可とするならばまた別であるが。農業の中の一部門であり、国の食糧戦略上、寡占化はマイナスであるとするならば、どうすれば良いのか結論は出ている。

「鶏の研究 2020年10月号」 目次

鶏声人語

鶏卵相場8月が鍵か

 7月下旬の声を聞き卵価は下げ基調となった。先に下げ基調となったのは大阪市場で、20 日には前日の17 日に比し全農大阪Mサイズ加重平均値10 円落ちの145 円となった。一方東京は連休明けの27 日から同Mサイズ加重平均値キロ10 円落ちの145 円と大阪相場に追従した。新型コロナが騒がれだした2 月、3 月、4 月は東京、大阪両市場とも強含みに推移した。特に3月入りして、安部首相の突然の学校休校措置により鶏卵市場は急伸した。価格も弱含相場から強含み相場に転じた。すなわち「引きこもり需要」による好相場となり、予測不可能な展開となった。5 月に入ると休校措置も終り、鶏卵価格は軟弱となり、以降下落相場となった。鶏卵は市場に溢れ荷受筋によると業務筋では年内一杯在庫を抱えていると…。新型コロナはまだ終わりを迎えないだけに、コロナの発生状況如何によっては相場の影響もあるといわれる。8 月の相場形成は年内の動きを見る上で重要になるといった見方もある。

「鶏の研究 2020年9月号」 目次

鶏声人語

コロナショックは人に生きる道を教える

 新型コロナウイルスの蔓延によって、生活環境は一変した。その一番大きな影響を受けたのが教育現場である。一方、経済界は大手企業を中心とする働き方改革にともなう自宅でのウェブによる業務となった。自宅での業務拡大にともない事務所の位置付面で変革がおこり、都心のオフィスビルの空が目につき、事務所スペースの縮小化が徐々に進みだし、働く環境を見なおす動きがでて来たことも事実である。その反面、第1次産業においては働き手不足による不況産業からのダブルウァキングに近い労働力の有効的調整が進みだしたところもある。小中学校の休校により、プラスに動いた産業もある。それが養鶏産業であるといっても過言では無い。ひきこもり需要にともなう相場面への影響は予想を上回った。その一方では外食産業の営業活動自粛にともない割卵等業務需要の低下等があり、経済全体として見るならば負の結果を迎き、本格的な影響があらわれるのは、これからだと。この先どうなるのか、第2次、第3次の波がこないことを祈るばかりである。

「鶏の研究 2020年8月号」 目次
鶏声人語

動かないづくめの環境下、強い指導者の出現を

 新型コロナ後の日本の食はどうなるのか…。教育は…。経済活動は…。日本の文化は等すべての活動が停止するといった異常事態を迎えた。目に見えぬ新型コロナウイルスによる世界の社会構造は大変革を余儀なくされている。誰もが過去経験したことのない暗いトンネルを進んでいる。消えては再発する新型コロナウイルス。人間の英知とコロナウイルスとの根比べ。世界はワクチン開発と治療薬の開発にしのぎを削り、その間も感染者数は増え続ける。アフターコロナ・ウィズコロナ、先行不透明感から消費者は時の流れを静観する。その結果、消費は低迷する。政府が金をジャブジャブ投入しても消費者は動かない。インフラが停止している状況下物流も動かない。動かないづくめである。循環機能がはたらいてこそ経済は前進する。消費者が動かないということは、先行経済への不安と、政治への不信さらには行政への不信が根底にあることをわすれてはならない。誰もが経験したことの無い環境下強い筋の通った指導者が今求められている。

「鶏の研究 2020年7月号」 目次

鶏声人語

労働力減少とアフターコロナの養鶏産業

 総務省は2019 年10 月1 日現在の人口推計をこのほど発表した。総人口は2018年10 月に比し、27 万6,000 人少ない1 億2,616 万7,000 人となった。なお、その数値には外国人も含まれている。すなわち人口減少は年々進み、将来的に労働人口の減少による産業界全体への影響は大で、今以上に厳しい環境になることは目に見えている。国は労働人口減少に少しでも歯止めを掛けるために退職年齢の引き上げ等改善すべき策を講じてはいるものの、抜本的対策には繋がっていないのが実情である。今回のコロナウイルス禍でも露呈したが、外国からの技能実習生がわが国へ入国できず、農業界への影響が大きいことは、コロナウイルス禍の影に隠れて一般マスコミに大きく取り上げられないが、各部門で深刻な問題になっている。アフターコロナの流れに対し、産業構造の総見直しが求められている。何が発生してもおかしくない環境下、情報収集力が企業存立の鍵を握ることになる。

廃鶏処理と鶏糞処理問題は経営に影響
 東南アジアへの鶏糞の輸出先に異変が生じていると関係者は言う。従来輸出していた国への出荷が停止される等、措置が講じられていると…。それに伴いその余波が国内の園芸店へと及び、従来の物流の流れに変化が生じている。鶏糞処理と廃鶏処理は一歩間違えると経営そのものに影響を及ぼすだけに深刻だ。規模拡大と終末処理問題は、プラスとマイナスの関係だけに、バランスが崩れると、産業界に与える影響は大であるだけに、流れを冷静につかむ必要がある。

「鶏の研究 2020年6月号」 目次

鶏声人語

災害相場を業界は
喜んでいられない

 鶏卵相場が予想以上の強含みに推移している。3 月の声を聞き、3 日から26 日まで全農東京M サイズ加重平均値キロ197 円と持ち合いで推移し、27 日に入り202 円と5 円上伸した。一方大阪においても3 月1 日全農大阪M サイズ加重平均値キロ185円で開始、3 日には10 円上げのキロ195円が25 日まで続き、27 日は200 円代乗せとなる等、強含み相場構成となった。令和2 年1 月の全農東京M サイズ加重平均はキロ170 円、2 月179.7 円と徐々に上伸。3月は前述したようにさらに上げ、キロ202円相場構成となった。この流れについて関係者によると、自然災害相場で異常相場だという。一方、畜産物の中でブランド牛の黒毛和牛の消費が急激に落ち、食構造のいびつさが前面に出たという。すなわち黒毛和牛は家庭では消費されず、接待時に高級食材として使用されてきた。今回のコロナ事件によって、誰もが使用できる幅の広い食材は卵であることが、立証された。


「鶏の研究 2020年5月号」 目次



鶏声人語

雇用先が無くなることは
村社会が消えること

 採卵業界の再編成が静かに進む。その流れは、大規模生産者を中心とし、合併予備軍は数か所あるといわれる。この背景にあるものは、人的問題と4 年間にわたる好相場によることが大きいと見る向きが強い。合併する背景には、経営者の経営環境を見る目と経営者の心理的要因が大きいと。先日、関東地区では古くから養鶏経営を営み廃業に踏み切った経営者と会い胸の内を聞いたところ次の返答があった。後継者を関西の有名私大に入れ、卒業後に家を継ぐことを期待していたが、一言「継ぐ意志は無くなった」。この一言により経営者は腹をくくったと。腹をくくるまでには編集子に言えぬことが数多くあったことだと思う。家族会議を何回となく行い、最終結論が廃業で他社との合併ではなかったという。中小規模生産者の生き残る環境は年々厳しさを増し、特色ある経営体以外に将来的には生き残れない。ローカルスーパーはいたる所で廃業ないしは大規模生産者に"島" を取られ、最終的には玉の行き場が無く、営みを止めざるを得なくなる現実がある。資本の論理からいえば当然のことであるが、村社会にとっては、雇用先が一つ無くなり、村の光が消えて行く。

「鶏の研究 2020年4月号」 目次

鶏声人語

有機畜産物の指定農林物資化
遅すぎた春

 畜糞の認定について有機JAS認証機関が検討に入り出したという。関係者によると海外の状況について情報収集に入り、具体的な動きを取り出したとも。有機畜糞の認定商品がEUでは市場に出回っており、編集子がイタリアを訪問した時に、有機農産物の圃場に認定された畜糞を散布するのは当然のことで、日本ではどうなっているのかと質問された時、閉口した。わが国では、畜糞の認証の言葉すらなく、このまま推移すると、有機農産物は市場から消える危険性すらあると感じたのは編集子の浅学のためだったのかと。一方、有機種子も同様で、畜糞よりも早くから認証された種子が市場に出回っており、わが国では、今まで検討すらされず、関係者によると、やっと検討することを考え出した段階だという。有機畜産物が今年7月から指定農林物資になるだけに、有機畜糞の市場出回りは数年いや数十年先になるのかもしれない。有機種子の認証は、種の保存の観点からも早急に検討すべき時期に来ている。

「鶏の研究 2020年3月号」 目次

鶏声人語

環境問題はエゴにより空洞化

 令和元年から令和2年へ、時はパラオリンピック、オリンピック開催の年を迎えた。裏を返せば世の中はなにかにすがろうと一喜一憂する。オリンピック後には大阪万博さらには国内に3 か所設けられるリゾート型とばく場建設へと多くの問題を含みながら、時は進む。無資源国日本が将来的に安定的に進む道は、スクラップアンドビルドによる建設への投資以外に道は無いと。なんともおかしな話である。すなわち、建物が資源であり投資の対象となり、活性化の道だと。つきつめるとその資源の元は他国から輸入された素材である。環境破壊は着々と進む。環境破壊は人間の手によっておこなわれるものと自然の猛威によって発生するものに分類される。自然の猛威によって生じるものは終わりが無く、破壊力は大きい。昨年の15 号、19 号台風による被害はこれに相当する。自然の力による破壊は年々拡大する傾向にあり、世界規模で被害は及ぶ。この流れに対し、国連では検討が進められているものの、自国主義者によって環境問題は空洞化し、被害が表面化しても何の手を打つことができない。次の世代へ負の遺産を残してはならないと、良く耳にする言葉であるが、なかなか行動に移せない。自然の猛威は“ 食” にも当然影響を及ぼす。“ 食” に関して各種法律は施行されるが、元の問題を解決しないことには“ 空” だけが舞う。

「鶏の研究 2020年2月号」 目次

鶏声人語

2020 年は終末処理の解決が鍵

 2020 年の養鶏界は鶏糞問題に始まり、鶏糞問題で終るとは業界人が異口同音に言う。住民とのトラブルは各地域で発生し、法的には問題解決をしているが、抜本的問題解決には至っていないのが実情である。各種情報が編集部に入って来るが、問題解決に至っていない。今後わが国で養鶏経営をおこなって行く上で業界が取り組んでいかなければならない最重要課題は、鶏糞処理と廃鶏処理問題である。すなわち、終末処理を抜本的に解決しなければわが国の養鶏はオーバーな言い方をするならば幕引きを余儀なくされる。地域社会における養鶏業界の雇用は上位にランクされているだけに、養鶏産業のあるべき道を業界全体で検討すべきである。鶏糞の輸出先であるベトナムを中心とする東南アジアでは、受け入れを拒否するところも出て来た。一方、廃鶏においても同様の傾向にある。廃鶏の輸出は鶏糞の輸出と違い、国内で鶏インフルエンザが発生するとストップをかけられる事実がある。養鶏業界の規模が拡大すればするほど問題は深刻化する。両部門とも、東南アジアを中心に構成されているとするならば本質的問題解決にならない。

「鶏の研究 2020年1月号」 目次