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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
青海湖タイプのウイルスは従来のアジア型H5N1亜型ウイルスとは異なる

京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター
鳥取大学農学部付属鳥由来人獣共通感染症免疫研究センター
大槻公一


4.2005年に中国のチベット地区の青海湖に突然出現したH5N1亜型鳥インフルエンザウイルス
突然予期せぬ事態が起きた

 現在、アジアを中心に広く猛威をふるっている強毒のH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスは、1996年中国南部の広東省に初めて出現したと考えられている。その起源は、水鳥に長い間保有されていた弱毒にウイルスあると予想されている。このウイルスが中国国内で鶏に伝播して、鶏から鶏への感染を繰り返している間に、鶏に対する強い病原性を獲得したのではないかと考えられている。この強毒に変異したウイルスが、鶏群間に広がって、1997年のホンコンのライブ・バード・マーケットにおける、鳥インフルエンザの流行につながり、人への致死的な感染を引き起こしたと考えられている。同年暮れの押し詰まった12月30日から、広くマーケットを汚染していたウイルスの完全な消滅を図るために、ホンコン政庁の命令でホンコンのライブ・バード・マーケットの大掛かりな消毒とこれらのマーケットにおいて販売されていた生鳥を含むすべての家禽類の商品の徹底的な処分が大急ぎで行われた。しかし、ウイルスの完全な消滅には至らず、その後も、ホンコンのライブ・バード・マーケットにおける鳥インフルエンザの流行は何度も再発し、近隣に生息する野鳥へのウイルスの感染が起きたことも知られている。また、このウイルスはアジアのほぼ全域に広く拡散してしまい、現在においても大きな被害をもたらしている。
 このH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスに感染した鶏のほとんどは、甚急性の経過で死亡する。しかし、アヒル等の水鳥が感染した場合、ウイルスの体内での増殖は起き、糞への多量のウイルスの排出は認められるものの、感染した鳥には明瞭な臨床症状を出現しないことの多いことは良く知られている。筆者たちも、これが強毒の鳥インフルエンザウイルスの一般的な鳥類への病原性であろうと考えてきた。
(続きは9月号に掲載)