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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
H5N1ウィルスによる高病原性鳥インフルエンザの
発生と野鳥のウィルス保有


京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター
鳥取大学農学部付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター
 
大槻公一

1.はじめに
 本年1月に3年ぶりにH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザの発生が宮崎県と岡山県であったことはいまだ記憶に新しい。今回の宮崎県での最初の発生は、3年前と異なり、山中での養鶏場あるいは人家ではなく、市街地に近い住宅地に隣接した場所で起きたことは予想外の出来事であった。発生した養鶏場にはとんでもない災難が突然降りかかった。3年前とは異なり、養鶏県である宮崎県での鳥インフルエンザ防疫対策には、すでに力が注がれており、発生養鶏場においても、容易に鶏舎内には野鳥が侵入できない状況であった。そのような鶏舎内にウイルスが侵入して鳥インフルエンザの発生が起きてしまった。何がこのH5N1ウイルスを日本国内に持ち込んだのか。野鳥でなければそれでは何がウイルスを鶏舎内に持ち込んだのか。簡単には分からないし答えは難しい。しかし、実際にはH5N1ウイルスが鶏舎内に侵入して、飼育されていた鶏に感染が起きて一棟だけではあったが、多くのブロイラー種鶏が発病して死亡したのである。
 ところが、ごく最近になって、宮崎県清武町での発生が確認された1月12日より以前の、1月4日に、本病の発生があった現場から、約60km離れた熊本県の山中において瀕死状態で発見され、まもなく死亡したクマタカの体内からH5N1ウイルスが分離されたのである。このクマタカから分離されたH5N1ウイルスがどのような遺伝子性状を持つか、すなわち、三箇所の宮崎県での発生養鶏場、岡山県で発生した養鶏場から分離されたウイルスと同じ青海湖タイプの性状を持つか否か、まだ分かっていない。しかし、仮に同じ性状を示すのであれば大変興味深い。すなわち、どのような経路で宮崎県あるいは岡山県までウイルスが運ばれたのかを考える上でひとつの証拠ともなりうる大きな出来事になる。
 以上のような状況を考えると、2004年に発生した鳥インフルエンザの原因ウイルスが何によって国内に運ばれたのか、もう一度検証することには多少の意義があるのかもしれない。(続きは5月号に掲載)