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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
財団法人日本生物科学研究所 川原史也
はじめに
 鶏コクシジウム症は現在の集約的な養鶏生産において、根絶が困難な疾病の一つである。人やその他の動物に感染するような危険性はないが、生産成績を悪化させ、甚大な経済的被害をもたらすことから、近代養鶏の開始当初から非常に重要視されてきた。これまで本症の予防対策として、優れた有効性と安全性を示す抗コクシジウム予防剤が重用されてきた。
 ところが、近年、薬剤耐性株の出現の問題や薬剤に頼らない食品生産を求める消費者ニーズの高まりなどを背景に、本症の予防対策においても薬剤に代わる方法が求められるようになり、コクシジウム生ワクチンが注目されるようになった。
元来、コクシジウム生ワクチンは薬剤を使用することができない種鶏のために開発されたものだが、最近では肉用鶏や卵用鶏の生産においても広く応用されている。本稿においては二回にわたり、鶏コクシジウム症と生ワクチンを用いた対策法について、野外事例を交えながら紹介したい。
鶏コクシジウム症
 鶏コクシジウム症は、Eimeria属原虫の寄生による鶏の腸炎を主体とする疾病である。腸粘膜内で原虫が多量に増殖することにより粘膜が物理的に破壊され、栄養や水分の吸収不足により宿主の健康状態を悪化させる。主な臨床症状は、血便および下痢便の排泄であり、一時的な元気消失程度で回復する場合が多いが、病勢が進行した場合には大量に死亡する例も認められる。本症は、ブロイラーとその種鶏などの平飼い鶏に多発し、育成率、飼料要求率および産卵率などの生産成績を著しく悪化させるため、養鶏産業上非常に重要視されている。
(続きは4月号で掲載)