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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
鶏声人語

鳥インフルエンザ対策、個人の力では限界
全羽数殺処分に疑問の声


 韓国で猛威を振るう牛の口蹄疫。まだわが国では発症ないものの、ビクビクの状況が続く。わが国へ伝播したら壊滅的打撃を受け、国産牛は市場から消え、輸入物に市場が置き換わることは目に見えていると危機感を募らせる。一方、わが国では鳥インフルエンザの発生により1,700万羽の鶏が殺処分され、その羽数は、全飼育羽数の15%に相当する。その結果、卵価高騰の直接的要因となり、羽数の減少により先行きが見えない状態が続く。この流れに対し、鳥インフルエンザが発症しなかった生産者と発生を見た生産者の収益格差は当然のごとく拡大するが、誰の責任でもないとの声が届く。また、生産者の悲痛な叫び声が日本国内全土に響き渡るといっても過言ではない状況である。卵価高騰により悲痛な声を上げるのは業務筋で、過去において今回のような現象はなかっただけに影響は大きい。豚においても豚熱の発生により終息する気配はなく、ワクチン効果も無く対策に苦慮しており、鶏同様終息を見ていない。
 牛の口蹄疫の発生はないものの、精神面で冒されそうだと先行きを不安視する生産者がいる一方、鶏のように発症した農場ごと全群を殺処分するという現状に、経営者2世いわく「全羽数殺処分する方法に対し、経営を引き継いでやっていこうとする気持ちが薄れる」ともいう。国はワクチンを認めず衛生管理の徹底をというが、発症を見たほとんどの生産者はできることはすべて実施していると…。あと、何が必要なのか個人だけでは考えられないところまで来ている。

「鶏の研究 2023年7月号」 目次