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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
鶏声人語

特殊卵価格値上げの鍵は9月
Xデーがないことを望む


 9月は特殊卵にとって正念場だと関係者は強調する。その理由は
量販店への値上げ要請に対し、その結果が出るというもの。量販店
に対し、今期よく継続的に交渉することが値上げの第一歩だと。当然
そこにはリスクを伴うが、値上げ交渉が認められない場合には、一般卵
の値上げは当然認められなくなる。業界あげての特殊卵値上げ要請は、
産業継続のための第一歩である。養鶏業界は組織を挙げて中小生産者
対策について協議している。しかし現実の流れは、強者の論理がまかり
通り、島とりが激しさを増している。編集子が調査した限りにおいては、
大手生産者が現状においては紳士的に行動しているが、仮に島が
大幅にとられた場合、資本対資本の闘いはより激しさを増す。この点に
ついてはあえて説明する必要のないことである。資本対資本の闘いで
被害を受けるのは、中小規模の生産者である。その時期がいつの日
になるか。Xデーはいつの日かということになる。Xデーがないように
するためには、業界団体の総本山とも言うべき(社)日本養鶏協会の
姿勢いかんである。強い指導力が求められていると同時に今何を
なすべきか検討すべきである。


消費者の購入時の判断基準は鶏肉、卵とも価格は3位

 農林水産省情報戦略室が公表した平成20年度消費者動向等に関する
調査結果による食品の購入時の判断基準として、鶏肉・卵とも鮮度が
第1位で、鶏肉が64.2%、卵69.4%、第2位は鮮度同様鶏肉・卵とも
安全性への信頼で鶏肉61.1%、卵59.1%、第3位は価格で鶏肉58.2%、
卵58.2%となった。消費者の求める姿がこの数値には現れているだけに、
現状を冷静に分析すべきである。


(2008年10月号)

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10月号の紹介

・展望「値上げする環境は整ってきた」

<養鶏技術>
・将来のために鶏用飼料はどうあるべきか?―――伊藤博史
・DDGSの飼料価値と今後の動向について(下)―――木村信熙
・アニマルウェルフェアと無薬(下)―――日本イーライリリー株式会社

<鶏界の動き>
・各社商品をPR、来場1万人超、出展数512社―――アグリフードEXPO2008
・地の利活かし川下戦略に舵―――(農)北総養鶏組合
・飼料米の活用と鳥インフルエンザ対策をテーマに公開シンポジウム――日本家禽学会秋季大会
・注目は葉酸と卵の組み合わせ―――たまご研究会
・優良誤認させる表記は認められない―――鶏卵公正取引規約説明会

<アニマルウェルフェア>
・日本型アニマルウェルフェアのあり方を探る4
 JA全農飼料畜産中央研究所 神谷誠治氏
・採卵鶏飼養実態アンケート調査報告書
 (社)畜産技術協会

<セミナー等>
コスト吸収のために販売価格への転嫁をより進める必要―――日本シュリンク協会
食の「安全志向」高まる。食品の値上げ、消費者に受け入れられやすく―――消費者動向に関する調査
生産現場から消費者までの食の安全に対する取り組み―――フードチェーン・ブランドセミナー
素雛・若メスのコスト上昇分の価格転嫁を―――(社)日本種鶏孵卵協会

<海外技術>
バイオセキュリティとワクチネーションで疾病をコントロールするのが流れ
アメリカにおけるオーガニック鶏卵肉の市場動向(上)




鶏声人語
資本の論理が前面の業界に

 静かに業界の再編成が進行している。業界から目をそらしていると、裏では企業の
想像もつかない動きが起きているなど、業界再編成の第2ラウンドに入った様相を
呈してきた。孵化場を核とする展開もあれば、大規模生産者の着実な島取りなど、
数を上げれば切がない。一方では、中小規模生産者、若雌業者の廃業もしくは撤退
など各地で散見できる。第3ラウンドになると生産者戸数は2000戸台になり、総羽数
は変わらず、資本の論理のみが先行する。その動きをとめることは誰にもできない
わけだ。業界の再編成は超資本主義的傾向に向かいつつ制度面は社会主義的な
構造となり、資本主義的発想と社会主義的発想が並列されるとどこの階層が強い
のかは自明の理である。

物価の優等生の継続は経営危機への歩み・・・

 7月の声を聞いても強含みの鶏卵相場、どのような要因から高相場出現につながったかは生産者が一番理解しているところ、業界のムードとしては、年内いっぱいは強含み展開となるが、来年は・・・となる。毎年のパターンと思うかもしれないが、その考えは間違っている。すなわち、荷受筋の努力の賜物である。また値上げを認める要因が周辺に十分すぎる位あるからでもある。「物価の優等生」は他も物価高というという環境下にあっていつまでも「優等生」である必要はない。

(2008年9月号)

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9月号の紹介

・展望 「特殊卵の値上げ、ほとんどが認められる」

<養鶏技術>
・将来のために鶏用飼料はどうあるべきか(1)
・アニマルウェルフェアと無薬(中)
・DDGSの飼料価値と今後の動向について(中)
・ネズミによるサルモネラ感染の実際と駆除方法
・害虫、害獣駆除のポイント――ハエ編・ネズミ編

<シリーズ鶏糞処理・悪臭対策51>
・シンプルかつ効率的なオートメーション設備で労働力の大幅削減に成功
越川エッグファーム

<アニマルウェルフェア>
・日本型アニマルウェルフェアのあり方を探る3
 株式会社クレスト 栗木鋭三氏

<鶏界の動き>
・小売価格への転嫁に理解を求める――理解醸成のための中央推進協議会
・飼料高騰等を受け養鶏関係者ら訴え――養鶏問題懇談会
・鶏舎システムの先駆、世界シェアトップに――ビッグダッチマン社
・実体験通じて卵に関する食育を――日本農産工業株式会社

<海外技術>
・集約型生産体制のほうが地球温暖化に影響を与えない(下)
・採卵鶏における従来型ケージとエンリッチケージ(下)

そのほか、養鶏業界の国内外のニュースをお伝えしています。