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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
市販の誘導換羽飼料についての報告(上)
全期間の平均産卵率 絶食群78.3%、餌給与群79.5%
千葉県畜産総合研究センター 村野多可子
 
強制換羽(誘導換羽)は400から500日齢の鶏を対象に短期間絶食処理を行い、
産卵を強制的に中止させ、卵胞ホルモンの分泌を止め、換羽を誘導させる方法である。
この方法により産卵後期における産卵率・卵質の改善などが図られるため、養鶏現場
では広く活用されている。
 反面、換羽処理時の脂肪系の増加、換羽による産卵開始後の卵重の上昇、絶食の
ストレスによるサルモネラ感染の増強、家畜・家禽に対する福祉の問題も大きい。
 これらの問題点を解決するため、1970年ころから飼料を給与しながら換羽を誘導する
方法が研究されてきたが経済的に採算が取れないなど野外での実用化には結びつか
なかった。
 しかしここ数年、国内においても飼料を給与しながら換羽を誘導する方法の研究が
進み現在数社から換羽時に給与する飼料が市販化されている。野外では既にこれら
飼料を用いての強制換羽が実施されているが、詳細な報告はわずかである。
 そこで、われわれは市販飼料の給与効果を調査するために白玉産卵出鶏と赤玉卵
産出鶏の2銘柄を用いて試験を実施した。

(つづきは5月号に掲載)
鶏声人語


韓国でAI発生、アジア方面からの帰国者には防疫衛生面の徹底を

韓国南西部の採卵鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが4月2日に発生
(全飼養羽数150570羽中2380羽の死亡確認)した。温かくなった季節に
向かい「なぜ」と思う人も多い。原因は不明のようだ。韓国での発生はわが
国へ直接影響を受けるだけに発生原因を知りたいところ。ベトナムなどアジア
地域に進出する日本企業の社員が衣服などに付着して帰国、その結果何らか
のプロセスを経て蔓延すると言った京都産業大学の大槻教授の説明を思い出す。
韓国企業のアジア地域への進出、それに伴う人的往来による影響も当然考え
られるわけだ。農林水産省は、安全局長名で都道府県知事宛に「韓国における
高病原性鳥インフルエンザ鳥インフルエンザの発生に伴う国内防疫の徹底に
ついて」を出した。その内容は飼養衛生管理基準の遵守および以上発見時の
早期通達を徹底するとしている。人的往来の激しい隣国でのAI発生は、国内で
発生したのと同じくらいに重い。アジア方面からの帰国者に対しては具体的対応
をとるべきである。



過去の減羽と今年の減羽のもつ意味は違う

 4~6月期の配合飼料価格がまたまた値上げする。値上げ額は全畜種総平均で
4660円/tで、農家の実質負担額は1960円となる。養鶏関係はトウモロコシ、大豆粕
などの主原料割合が高いだけに、全畜種総平均より上回ると見られ、経営への影響
は避けられない。業界にとってマイナス要因があるだけに、金融機関の締め付けは
より厳しくなることが予想される。製品価格は上伸したものの実質価格は二重価格。
この先、わが業界の行く末に夢がもてるのか否か。10%の減羽が原料価格の高騰分
プラスアルファを得ることがわかっているならば、行動するのはひとつだけである。
過去の生産調整時の減羽と今年の減羽の持つ意味は大きく異にする。鶏卵価格安定
基金の基準価格が自民党の中小生産者を守るとの政治決断により対前年比19円アップ
の185円となったことは業界にプラスとなる。しかし、生産原価の約60%を占める飼料
問題解決なくしての改善策にはならない。飼料工業会と学会とがひとつのテープルに
つき検討会を開始すべき時期に来ているのではないか。行政への依頼範囲には限界
がある。



(2008年5月号)