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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
ワールドポートリー2007年2号より
By Aaron Priel Rehovot, Israel


 事業者とメディアの注目を集めたフェザーレスブロイラー、最初の発表から四年経ち、高温環境下での使用を想定した商業化への試みが進んでいる。
 約四年前、イスラエルの遺伝学者がフェザーレスブロイラーについての調査報告書を発表した。このニュースは世界中のメディアから注目されたが、世界の養鶏産業にインパクトを残す結果とはならなかった。
イスラエルの科学者であるAvigdor Cahaner博士は温暖湿潤な気候の国でとくに鶏種の成績が期待される旨を記載している。
そして現在遺伝学の進歩とその後継続的に行われた実験によって、Cahaner博士はすべてにおいて成績は改善されたと話している。博士は温暖湿潤な気候におけるフェザーレスブロイラーの経済的なアドバンテージを明らかに確信している。
 多くのブロイラー生産農場は、温暖湿潤のアジアやアメリカ、アフリカに拠点を置いている。
しかしながら、今日の標準的な商業用ブロイラーは遺伝学的な長所を最大限発揮させるために、低い環境温度を要求している。Cahaner博士は、高温の状況下では、標準的なブロイラーの羽が、鶏の体内に蓄積された余分な熱を効果的に放散させることを妨げているのである。
その結果、実際のブロイラーの成長率は低下し、歩留まり、肉質もまた低下してしまっている。
 また、市場に流通する前に多くが斃死してしまうのである。
最近では、こうしたネガティブな結果を解決するために、高価で、電力エネルギー消費に依存した冷却装置や、換気設備を備えているが、それはコストを上昇させ、ブロイラー生産において競争力を減少させる要因となってしまっている。
(続きは12月号に掲載)
飼料産業への影響
 飼料産業に一体何が密接に関係してくるというのであろうか。2005年のように国際的な穀物の消費量は供給量を上回ることが出来るだろうか。
世界の穀物備蓄は、ここ25年で最低の2億7,000トンを維持することは出来るのだろうか。われわれはトウモロコシと同じように大麦、小麦、砂糖といった原材料の枯渇という危険にあうのではないだろうか?われわれは原材料の代用品を探すべきではないだろうか?我われは未来において食料と燃料のための供給の競争の中で自分たちの原材料を安全に確保できることができるだろうか。
 これらの質問に答えるためには人々と、今日われわれが何を原材料に使えるのか、そして未来においては何を使うことができるかを考えなければならない。一体どんな技術が利用でき、そして迅速にそれを採用できるだろうか。
人口と肉の消費量
 今日世界の総人口は61億人である。これは2010年には7億人増えると予想されている。そして、その80%以上の人々がEU、北米、南米以外の地区に住んでいる。そのうえ、一番の成長がアジアからもたらされる。
中国の人口は2030年には15億に達すると予測されており、インドはその経済活動の目覚めとともに2010年には13億の人口になり、2010年には世界の人口のおおよそ七〇%をアジアが占めることを意味している。北米はほんの3億人、ヨーロッパ連合は4億7,000万人であり、比べると小さな比率である。
先進国と発展途上国の肉の消費量には厳然たる隔たりがある。アメリカにおいては一人当たり1年で120kgの食肉を消費する。中国においては一人当たり50kgだったものが2030年には70kgに増加する。インドは一人当たり10kgと消費量が離れている。これらの未発達な国において隔たりがあるもの、卵こそが蛋白質を取る鍵である。
世界的には卵の消費はおよそ一人当たり120個でアメリカ(6.4%増加)とアジア(7%増加)では上昇しつつある。そして、EU(7%減)とロシア(20%減)では減少傾向にある。
 その上、蛋白質の消費量が急激に増大する。一人頭10kgの肉の消費量を1億の人々が増大させるのは、食用動物のために4.000万トンの余分な飼料が必要となるのと同じなのである。(続きは9月号に掲載)
アワ飼料・蛋白摂取量増加、良好な成育に寄与 

ワールドポートリー2006年22号より

シコクビエ(学名:Eleusine  coracona)はragi(インド)、African millet 、Indian milletとして知られている。アジアやアフリカの多くの国で栽培されるマイナー穀物である。シコクビエにふくまれるME(2846~3078Kgcal/Kg)はトウモロコシより少し低い(表は6月号本誌をご覧ください)。
シコクビエに含まれる粗蛋白質、粗繊維、粗脂肪は特に差がある。これは栽培方法の違いによるものと思われる。リジンの濃度は低いが、一方でシコクビエのメチオニン、総含硫アミノ酸、カルシウム、リンはトウモロコシよりも高含有である。
 ブロイラー飼料としての利活用:ブロイラーの成育はシコクビエをそれぞれスターターとフィニッシャーの飼料で14%と17%まで加えても影響がない。これはブロイラーの飼料において重量ベースでトウモロコシの25%まで置換していることになる。ブロイラー飼料に高い割合で穀物を混合する(スターターとフィニッシャーの段階でそれぞれ28・5%と34・2%)と、鶏の成育は顕著に悪くなる。しかし成育の悪化は飼料摂取量の減少、乾物の利用、粗繊維、そしてシコクビエからの抽出物と関連付けられる。
 未消化の穀物やシコクビエなどの飼料に含まれる外皮が、高い割合で排出されるのは、こうした穀物が貧弱な栄養しか含んでいないためと考えられる。
従って、こうした穀物を細かく砕くことによって、ブロイラーの成長に影響を与えることなく、ブロイラーのスターターとフィニッシャー飼料において高いレベルでの穀物の混合を可能にする。(混合割合は、スターターとフィニッシャーでそれぞれ41%と47%。未粉砕形状の穀物の場合は27%と31%である)。(続きは7月号に掲載)
アワ飼料・蛋白質摂取量増加、良好な成育に寄与

ワールドポートリー2006年22号より

By Dr. S. V. Rama Rao, Dr. M. V. LN. Raju & Dr. A. K. Panda, Project Dierectorate on Pultry, Hyderabad, India.
トウモロコシは必ずしも養鶏飼料として利用できるわけではないし、高い価格のものしか利用できない場合もある。ここでは、人間が消費するにはあまり一般的ではない穀物が、エネルギー源としてのトウモロコシの代わりになるかどうかという疑問を提起する。

 養鶏や家畜の飼料におけるエネルギー源としてのトウモロコシに対するこれまでの需要の増加は、しばしば価格の不安定さをもたらし、時々穀物をだめにしてきた。また、トウモロコシは澱粉製品としても利用される。このことが、養鶏飼料において、トウモロコシの代わりになる最適なエネルギー源を探すきっかけとなった。この流れのなかで、いくつかの穀物がトウモロコシの代替品として試された。これら全ての穀物は栽培されている地域において主要な食料である。人間の食習慣が変わったためにこれらの穀物はいま、養鶏飼料のエネルギー源として使うことができる。しかし、ブロイラーとレイヤーの飼料として、アワ(foxtail millet)、シコクビエ(finger millet)、サマイ(little millet)、コド(kodo millet)は どの程度使うことができるのだろうか。
(続きは6月号で掲載)
フィターゼの量を最適化し、飼料費を抑制

ワールドポートリー2006年8号 ワールドポートリー編集部

 ブロイラーがトウモロコシ飼料にフィターゼを配合する場合、唯一のフィターゼ配合ソフト「ファイチェック(Phycheck)」を利用すれば飼育係はその配合量を柔軟に変更できる。ゲーリー・パトリッジ博士(ダニスコ・アニマルニュートリションのグローバル・テクニカルディレクター)によれば、このソフトで飼料費の増加を抑えることができるので生産者に大きな利益があるとしている。
 フィターゼを添加する際に伝統的に用いられてきた値は一定であり、鶏の日齢やフィターゼの投与率などの要因でフィターゼへの反応が変化するということはこれまで見過ごされていた。フィターゼ価格の上昇に伴い、飼育係は最も効率的なフィターゼの使用量を決めるため正確な基礎データが必要になるだろう。
 新しいソフトはダニスコが開発した。さまざまな飼料の原料に含まれるフィチンから有益なリンを解離するだけではなく、フィチンそのものが余分な飼料の消化を効果的に妨げる「抗栄養素」(anti-nutrient)であるという事実が、この「ファイチェック」では考慮されている。したがって、フィターゼの使用は飼料費の削減と、リンとカルシウムだけではなくエネルギーとアミノ酸の適正な配分という観点から二重の利益がある。
(続きは6月号に掲載)