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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
密閉縦型発酵装置を利用、尿酸を分解する微生物の動きを停止
三重県の開発技術を実践

有限会社鈴鹿ポートリー

鈴鹿ポートリー
一.農場概要
 有限会社鈴鹿ポートリーは、三重県鈴鹿市の山間にある。鈴鹿市は、東に伊勢湾、西に鈴鹿山脈と恵まれた自然環境の中にあり、自動車産業など数多くの企業を誘致し、伊勢湾岸地域有数の内陸工業都市として発展してきた。また、農業においても、茶や花木をはじめ、水稲などの生産が活発に行われ、農業と工業がともに成長し、現在に至っている。
当社は成鶏三棟六ロット、育成一棟二ロットのウインドウレス鶏舎を持ち、レイヤー六万羽を有する。近隣には多くの採卵鶏農家が点在し、自然に溢れた周辺環境である。

密閉縦型発酵装置

二.ウインドウレス鶏舎(肥料化プロセス1)
 鶏舎は、同じ敷地内に旧型の鶏舎と新型の鶏舎が混在すると、作業効率に大変な差が生じる。また、食品製造工場並みの衛生対策を考えると、早い時期に従来施設の改善を行いたいと考えた。ここから順次ウインドウレス鶏舎に改築していく計画を立て、実行していき、結果として三年間で目標を達成した。ウインドウレス鶏舎内には、鶏糞乾燥のための糞乾燥装置を設置し、堆肥化までの水分をできる限り低くすることにしている。除糞周期は五~七日を目標に、堆肥化施設までの鶏糞移動トラックには全自動で排出できる。

三.密閉縦型発酵装置(肥料化プロセス2)
 密閉縦型発酵装置(中部エコテック社製)は発酵槽全体容積一八立方メートル規模二機を有し、五日ないし七日間隔で交互運転している。鶏糞の品温は、初期から七〇度、四日目から徐々に品温が冷める。一切の発酵菌や悪臭防止菌などは使用していないが、視察者からは「臭いがあまりしない」と言われる。三重県科学技術振興センターの研究では、鶏糞中にある尿酸が分解されアンモニアになり悪臭の原因になるが、密閉縦型発酵装置では堆肥の品温が七〇度になるため、分解する微生物の動きが止まるという。

タブレット肥料
↑タブレット肥料
ペレット肥料
↑ペレット肥料
(続きは1月号に掲載)
鶏糞堆肥の仕上がりにとことんこだわった処理施設づくり
株式会社ホソヤ家禽研究所

ホソヤ家禽研究所 昭和47年に設立した家禽研究所は、昭和33年に神奈川の庭先養鶏からスタートし自動給餌器の開発からメーカーとしての存在感を強めていった株式会社ホソヤの自社農場である。
 同農場はお茶で有名な静岡県にあり、周囲にも茶畑が広がる山中にある。現在育成、成鶏をあわせて約30万羽を飼養し、生産される鶏卵は生協などに流通させている。
 庭先養鶏から養鶏専門の機械メーカーとして成長してきたホソヤの農場とあって、そのシステム化された鶏糞堆肥化施設に興味を持ち取材することとなった。
ホソヤ家禽研究所 あと2年で創業50周年を迎えるという同社農場での堆肥化処理施設は国内では継続して販売されているが、近年では土地がやせている中東やヨーロッパなどを中心に海外での引き合いが強くなっているという。
 取材に立ち会っていただいたのは、今年7月にホソヤの新社長となった細谷泰社長と、同社で鶏糞醗酵処理施設を長年にわたって研究開発してきた、小松正夫所長である。
 同農場での鶏糞の堆肥化までの行程は、チェーンスクレイパーによる鶏舎からの搬出に始まり、第一次醗酵処理施設および第二次醗酵槽での醗酵に続けて、仕上げ乾燥、ふるいわけという流れになっている。以下では、それぞれの行程の概要を紹介する。

ホソヤ家禽研究所 同社の農場は東西に育雛・育成鶏舎のほか、10棟の鶏舎が並んでいる。全鶏舎について鶏糞の搬出はワイヤースクレイパーによる自動除糞で、スクレイパーは鶏舎北側に設置されており、鶏卵のルートとは鶏舎を隔てて隔離されるような構造となっている。
 毎日1回から2回すべての鶏舎で実施し、基本的に鶏舎に鶏糞を貯めないようにしている。これによって、鶏舎内での発生を防ぐほか、鶏舎環境をクリーンな状態に保っている。
(続きは11月号に掲載)
EM菌で悪臭を軽減、良質な堆肥生産で販路を開く
有用菌を上手く利用し、悪臭を抑えるEM菌
                     株式会社コトブキ園
株式会社コトブキ園


 前回に引き続き、今回も菌を利用した醗酵方法だ。取り上げたのはEM菌。すでにだいぶ前から利用されてきているが、実際に現在利用している農場の意見を聞くことにした。取材したのは、神奈川県相模原市にある㈱コトブキ園。東京近郊ということもあり、ベッドタウンとしての開発も進む同地域では、農場周囲も畑地が点在するものの近隣を住宅地に囲まれ、臭気対策は経営上の大きな課題だった。これまで納豆菌を始めとするさまざまな菌を試してきて現在たどり着いたのが、EM菌だという。話を伺ったのは、コトブキ園の角田隆洋総括主任。使用までの経緯と、利用上の工夫点などについて取材した。(続きは9月号に掲載)
高温菌と堆肥化促進剤で悪臭大幅カット

トヨタ自動車(株)と(株)メニコンがレスキュー45を共同開発


有限会社鹿川グリーンファーム

鹿川グリーンファームは周囲にハエの被害が及ばないように「ハエ対策」を最優先した鶏糞処理を行ってきた。そのためハエは確かに減少したものの、今度は発酵する際の「悪臭」が問題となった。これまでいくつも悪臭対策を試みたものの、どれも失敗に終わり試行錯誤が続いた。今回、高温菌と堆肥化促進剤とをセットで利用する新しい堆肥化システムであるレスキュー45(トヨタ自動車とメニコンの共同開発)を試験的に導入したところ、悪臭の原因であるアンモニア臭を大幅に削減することが確認できた。また処理スピードもこれまでにないほど迅速となり、ハエ対策の強化にもつながった。本農場ではこれからも利用し続けたいとのことだが、残る課題はコストであるという。丸尾専務にこれまでの経緯、新システムの概要とコストについて伺った。(つづきは7月号に掲載)
酵素の散布