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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
鶏声人語

対策に限りあるAIの発生
カンボジアでは子供が死亡


 卵が棚から消え、この先どうなるかとは消費者の声。大衆紙には「卵大不況」と大々的に一面頭に掲載。更にカンボジアでは親子が鳥インフルエンザに感染し、11歳の子供が死亡。毎日のように卵の情報が流れ、地方自治体の中には、鳥インフルエンザへの感染はわが国では一例も報告されていませんと異例ともいうコメントが流れる今日この頃である。新型コロナと鳥インフルエンザ、卵騒動と、早く消えてほしいものだが、対策の取りようがないのが実情。とはいえ、ここまで鳥インフルエンザの発症が続き、殺処分鶏が1,500を超えた現在、手の打ちようがないだけでは済まされないのも事実。今後茨城方式だとか青森方式、さらにはワクチンの使用を認めてもらうための方策が検討されだしたとか、色々な声があがり出した。早く終息を、と祈ってはいるものの、目に見えぬウイルスは我が物顔に舞う。渡り鳥は3~5月の間に北帰行し、糞を空から落とす。感染が広がらないことを祈るばかり。

「鶏の研究 2023年4月号」 目次
鶏声人語

鳥インフルエンザの発生を受け
平飼い認証が大幅に遅れる?


 2025年開催の大阪万博の動きが活発化しだしてきた。畜産関係では有機畜産認証製品、富士山JAS認証製品については、法律に基づき対応するため、東京オリンピック同様の問題点はないが、民間認証に関しては、より厳しい対応が求められる。法律に基づき認証を行うシステムと異なり、第3認証が前提となり、認証するため基準がより厳しくなる。また、その裏付けが求められる。そのため、昨年4月に農水省の登録認証機関がアニマルウェルフェアに基づく平飼い独自基準を発表し、認証すべく、作業に入ったが、鳥インフルエンザの発症により、農場審査に入ることが不可能となり、今年3月(状況によっては遅れる)を目途に作業を進めるという。鳥インフルエンザの殺処分羽数は1,000数百万羽と過去味わったことのない発症羽数となったことを受け、認証作業の一時停止を余儀なくなったとのこと。畜産を認証する機関として正しい判断である。認証機関としては、鳥インフルエンザの発症が落ち着けば、即、作業に入るという。わが国で初めての平飼い第3認証であるだけに、焦ることなく、2025年の大阪万博に間に合うくらいの気持ちで地に着いた認証を行ってもらいたいもの。

「鶏の研究 2023年3月号」 目次

鶏声人語

高齢者雇用は”調和“が鍵か

  高齢化による労働雇用問題は深刻化し、官民あげて検討が進められている。最近の傾向として、大企業への高齢者の労働移動が進んでいるという。一方では、家庭内環境の変化によって高齢者が働きたくとも働けなくなっている現実が報告される。身近な企業においてもその動きが散見できる。高齢者雇用の一番の問題として、労働効率の低下が挙げられる一方、働く環境の整備さえできれば、経験値が生かされると…。良く言われることは、昭和と平成の意識格差になる。老齢者雇用問題は想像以上に日本社会へ大きな影響を与えると言われるだけにバランスにかかってくる。平成生まれも数十年経てば、現状と同じことを言われるだけに、”企業内調和“が求められる。この問題をクリアした企業は成長の波に乗ることができると…。65歳定年から75歳定年への延長が目の前に来ていると言われるだけに、労働環境の切り換えが求めらる。出生数が年間約80万人と100万人を割ったと言われるだけに将来日本経済に与える影響は大きい。

「鶏の研究 2023年2月号」 目次


鶏声人語

HPAI発生と
魅力ある業界とは


採卵鶏生産者と肉用生産者から例年に比べて一か月(十月二十八日、今季初めて発生)早く高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生を見た。一方、養豚業界は豚熱の発生と戦った。人間社会はインフルエンザの流行予測と第八波のコロナ(COVID-19)発生に身構える。目に見えないウイルスに“生”が脅かされる。わが国の隣国においては、民衆の放棄によってコロナ対策が根底から覆されたことが連日報道される。また、各国政府もコロナを一般の風邪扱いにするところも現れ、マスク姿が一部の国を除いて消えた。生きる以上は“生”との斗いとなる訳だが、中小家畜(鶏、豚)の殺処分の実態を見ると、人間に生まれてよかったと感じるのは編集子だけであろうか。発生理由が偏西風斗AIとの関係性で空気感染説を語る声が強まる。発生には色々な要因が重なっていることは事実である。その元を見ると、野鳥説、昆虫説、哺乳動物説等発生要因を挙げたら数多く挙がる。AIの発生と共に若手生産者がハイリスクな業界から身を引く動きもある。この流れを止めることは至難な業であるが、魅力ある業界とは何であるかについて自問するいいチャンスである。他産業の姿は美しく見えるのかもしれない。

「鶏の研究 2023年1月号」 目次

鶏声人語

手の打ちようのないAI発生

鳥インフルエンザが今年も発生した。発生日は去年より早く、恐怖の冬を迎えることになった。岡山県、香川県、北海道、茨城県へと飛び火した。羽数的には茨城県が一番多く発症した。「今年は鳥インフルエンザの発生が多いことが予想される」と学者、業界から流れてはいたが、推測の域は出ないと思われていたが、予測学が進んだのか知れないがこれから寒さに向かい、増加するとも・・・。偏西風の流れが例年に比べると胃にするとも言われ、今年の異常気象が発生要因の一つに挙がる。感染拡大はこれからといった空気が強い中、環境衛生に取り組んでいない生産者は自殺行為である。今回発生した生産者の中には、より厳格かつ県の指導以上に厳しい管理をしていたということもあると言われるだけに、手の打ちようがないという。毎年のように繰り返される事態に対し、一部の生産者の中から不安定な業界から身を引くところも出てきている。原料高の製品安で推移している業界に紙風は吹くのだろうかと思うのは正常な感覚なのかもしれない。現状の流れから去ることは、不幸にして発生を見た生産者としない生産者で何か異にするものはあるのだろうか。常識的にないはずである。被害を受けた生産者の中には原料高の状況下でも経営をプラスにしてきた生産者が現存していないだけに、今後の対応に注目が集まる。

「鶏の研究 2022年12月号」 目次
鶏声人語

認知症65才以上5人に1人発症
家庭のみならず社会生活にも影響
労働環境に大きな影響

 認知症とは、一つの病名でなく多くの場合脳の病気であり進行性です。とは社会福祉法人仁至会 認知症介護研究・研修大府センターのサイトによるもので、詳細はページの関係でカットしますが何故この問題を鶏声人語で取り上げたのかです。編集子の周りの人達が、驚く程発症し、家庭崩壊の道を辿っている事実を見てきたからです。また、小社においても編集マンの御両親が認知症を発症し、業務に支障を来す事態を迎え、最悪な状況となり、自宅で看護することになり一時的休職を余儀なくなり、本人にとっても家族にとっても苦しい日々が続いている状況下にあります。明日はわが身かと思っても、手の打ちようが無いのが実情です。編集子も「慢性硬膜下血腫」から来る認知症と診断され、原因となる病気を治療したことで、わずか一週間で症状が改善された経験をしました。認知症といっても色々な種類があるだけに専門医に診てもらうことです。日本において65才以上の認知症の患者の割合は5 人に1 人発症しているとのことです。身近に認知症の患者を見ているだけに、医者曰く早期発見が重要で、早く治療薬が世にでて来ることを望みたいものです。労働環境にも大きく影響を与えるだけに、家族だけの問題では無く、社会全体に大きな影響を与えます。入院中に言われたことは、歩くことを強く勧められました。現在は完治致しましたものの歯科に行けなくなり、歯がガタガタの状態となりました。頭蓋骨に10 円硬貨程度の穴を開けて脳を圧迫する血を抜くわけですが、その時のドリルの音が耳から未だに離れません。小生が経験した認知症は何にも頭に残らずということです。

「鶏の研究 2022年11月号」 目次
鶏声人語

大規模養鶏場が落ちつくのはいつか

  倒産とは、基本的に己の意志は働かない。廃業は倒産とは真逆で、己の意志によるところが大きい。なぜ廃業と倒産について本欄で触れたかである。業界で数か月前に大騒ぎとなった世界的企業養鶏場の債務者による周到な準備(編集者勝手な想像)によって会社更生法の適用申請が裁判所から許可された。これにより債権の保全が確保され、債権者保護が可能となった。その反面、経営者は会社更生法が受理された時点で経営者でなくなる。すなわち会社は裁判所の決定により存続が次期オーナーの出現まで破産管財人の弁護士によって経営を守ることになる。養鶏界のもう一つの大きな話題は飼料価格の高騰と商品価格の下落である。この欄では別の時に掲載する。大規模養鶏経営の会社更生法適用後の行く末に大きな流れがあり、継承企業がどこになるのか注目が集まる。事業継承企業がどこになるのか業界の噂を払うと5 社近くになる。債権総額が部外者の編集者にとって知るべくもなく、真実は一つであるということだ。現状において噂が噂を呼び、もっともらしい情報が業界をかけめぐる。業界史上初の大型案件であるだけに、1 日も早い着地点をと願う。養鶏界を安定化するためにも…。

「鶏の研究 2022年10月号」 目次


鶏声人語

異常補填の発動基準を特例的に引き下げ

 政府は物価高騰対策として今年の6 月(秋肥)から来年春肥を対象に新たな支援金の仕組みを創設し、実施する。現在の取組みを行う農業者の肥料コスト上昇分の7割を補填する。これにより、足元の肥料高騰に伴うコスト増を抑制するとともに、今般設定した2030 年化学肥料2 割低減目標の達成に向けて先行して取り組む農業者を強力に支援することで、農業のグリーン化を強力に推進する。一方、配合飼料価格の高騰対策について、飼料の高騰による畜産物の生産コストの上昇を緩和するため、官と民による基金から生産者に補填金を交付し、畜産物の価格上昇を抑制(対象四半期の輸入原料の平均価格と、その前1 年間の平均価格との差額を補填)する。また、令和3 年度補正予算において異常補填基金への230 億円の積増しを措置するとともに、総合緊急対策において、435 億円の積増しを措置した上で、令和4年度第1四半期(4~ 6 月)、第2 四半期(7 ~ 9 月)の異常補填の発動基準を特例的に引き下げるとしている。飼料コストを1 割抑制することを目標に挙げる。ここに述べて来た点は、農林水産省が7 月15 日付で「農産物生産コスト1 割減に向けて創設される新しい支援金について」である。なお、小麦およびトウモロコシの国際価格の推移についてはこの欄では未掲載とした。化学肥料および配合飼料価格の元は海外の動勢によって決まるが、今回の流れを一つのチャンスとして捉え、畜産を含む農業の総見直しの時期に来ている。

「鶏の研究 2022年9月号」 目次

鶏声人語

業界は構造的な改革の時期に到来か
国、県、業界、生産者はそれぞれの立場を考えるべき


コロナ禍が収まり、やっと光明が見えてきたと思ったら、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まり情勢は先が見えない環境となった。ウクライナへの侵攻により食料品価格の値上げは過去経験したことのないほどの幅となり、その値上げ攻勢は止まることなく世界を襲う。また為替の円ドル相場は円安を付け、輸入原料価格を際限なく押し上げる。一方、中国の穀物買い付けの動きは、わが国への配合飼料価格形成に当然大きな影響を与えるだけにその動勢が注目されるところである。現実的問題として、国内の配合飼料価格は過去最高水準にまで上昇している。今年7 ~ 9 月期の配合飼料価格は、過去最高額のトン11,400 円(全農発表)の値上げとなり、飼料の値上がり分を吸収できない畜産物価格であるだけに県、国の対応策に注目が集まるところである。生産者が国、県に求めるものは決まってくるが、結論は一つである。自分の経営は自分で守ることに尽きるわけであるが、そんなに単純なものでないことは理解するが、商品価格の値上げをどのようにすれば良いのかとなる。永いスパンで考えると、構造的変化を業界全体で確立することである。また、短期的には消費者に支持される価格すなわち値頃感を見つけ出すことでもある。

「鶏の研究 2022年8月号」 目次

鶏声人語

国民への食料供給不可能な事態も

 農水省は2050年までに有機農業を全農地の25%に拡大することを目指し、「みどりの食料システム戦略」を自ら実行に移すために、省内地下職員食堂を改修し、有機農産物等をメインとして使用する有機レストランをオープンした。このレストランは職員の他に、消費者への開放を行っている。また、周辺省庁にも積極的に呼びかけを行う意向のようだ。一方、参議院農林水産委員会では、みどりの法案で3名の参考人質疑が行われる等、環境に優しい農業の普及に積極的に取り組む姿勢を見せる。折しもウクライナ侵攻の影響と中国の食糧戦略の一環として不測の事態に備えて対策を講じているといわれ、食料の戦略物資としての色が強くにじみ出ている。一方、肥料の原料はロシア、ウクライナ、中国等からの輸入に依存。その原料が侵攻による影響、輸出規制、さらに世界的な肥料需要の拡大、原料価格の高騰等、負の材料が追い打ちをかける。畜産に関しても経営環境の悪化が追い打ちをかける。原料高の製品安によって、業界も致命的な状況となり、世界の原料状況から見ると、制度対応だけでは追い付かない。例年後半、7月以降、配合飼料価格は大幅に値上げするといわれるだけに、わが国の自給率低下の意味するものが表面化する。世界の食料環境悪化の意味するものを国民一人ひとりが考えなければ普通に食べてきたものが食べられなくなる、という現実を直視するべきである。

「鶏の研究 2022年7月号」 目次

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業界の動き、流れを見るのは展示会を4 年ぶりに開催、
盛況裡に終えた国際養鶏養豚総合展


4 年ぶりに国際養鶏養豚総合展2022(以下IPPS)が4 月27・28・29 日の3 日間にわたり、愛知県「名古屋市国際展示場」で約23,000 名の参加者を得て盛大に開催された。本来ならば昨年2021 年5 月に開催される予定であったが、コロナによる影響を受け2022 年への延期となった。今年も3 月の声を聞いてもコロナによる影響によって再延するのではないかと心配する空気が流れたが、その空気を一掃した。出展社数も2018 年開催時に比較し大幅に増加し、待ちに待った展示会となった。今回の展示会は、4 年ぶりの開催ということもあり、新製品が各メーカーから出展され、急激に発展する業界の姿を写し出した。また、出展各社の企業努力も過去にないものがあった。世界の流れをより具体的な型で展示した企業も散見できた。企業が生き残るために、世界の流れを的確につかまなければ、世界の孤児になることは業界の流れを見れば理解できる。世界の動き、業界の動きを見る上で、展示会を開催する意味は大きい。聞くところによると、今後展示会の開催を2 年に1 度にするといった情報も流れてくる。労働力問題の改善と業界を取り巻く環境は、製品安の原料高と最悪の状態となっている。環境への取組み、アニマルウェルフェア、そして、経済効率の改善に取り組んだところのみが、将来の業界の担い手になるのかもしれない。

「鶏の研究 2022年6月号」 目次

鶏声人語

笑顔が見えるのはいつの日か
1 次産業の域を脱しない業界


原料高の製品安に泣くわが業界。生きるか死ぬかの斗いではないが、出口が見えないだけに手の打ちようがない現実。経営内容の良かった生産者曰く「どんな対策を打っても赤字は赤字、こういう時には積極経営ではなく、静かにしていることが一番」だという。コロナにより業界需要は停滞しウクライナ戦争により原料相場は上伸し、いつ太陽が業界に笑顔を見せてくれるのかと思うは、世の流れを知らぬ大人なのか、それとも自分だけは生き残れると固く信じる大人のふりをする経営者なのか。今まで元気であった小売店が急に身を沈めるこのごろ。超大手食品メーカーまでが、来年前半で鶏ガラスープ工場を閉鎖するといった情報が流れて来るだけに深刻さがわかる。食品はすべて大幅値上げをするといわれるだけに家庭消費に与える影響は深刻である。値上げをしない商品を探すことが難しくなりつつある食品業界にとって、起死回生策は採卵鶏総羽数10%減羽するしか回復の道はないということである。昨今は鳥インフルエンザの発症により長期低迷で推移するといわれていた相場が、真逆の方向に向かい笑顔が戻った。こう見ると産業規模は大きくなったものの、1 次産業から脱却はまだまだ先なのかもしれない。

「鶏の研究 2022年5月号」 目次

鶏声人語

これからが経営者の評価露呈

コロナ問題は世界中の経済を足元から変えた。やっと解除になったかと思えば、再発、拡大し、対策を講じてはいる(国による差は大)ものの、わが国では消費者心理を元に戻すことには繋がらない。業務需要、家庭需要共、悪化傾向にあるといわれ、業務需要の低空飛行を支える材料も見当たらない。先行不透明感が漂う世界経済下、コロナの影響プラス、ロシアとウクライナの戦争による影響は、コロナ問題とは違った形で世界経済に未曽有の危機を与える。コロナ、戦争がわが業界に与える影響は、穀物相場、フレート等すべての部門に及び、値を下げる材料は見当たらない。この結果は末端価格に反映され、経営努力の限界を超える環境となる。過去からの経緯を見る、生産可能な価格を求めるならば、何をなすべきかは業界人ならばわかっていることである。昨年(2021 年)は大発生したAI が教えてくれた。今年も昨年よりは発生は少ないが、1月には10 万羽規模の採卵鶏生産者が消えた。これからが本格的に負の時期を迎える。今までの経営者の評価が露呈することになる。業界にとって今年は4月に大きなイベントがあるだけに、明るい環境で迎えたい。未来に夢のある…。

「鶏の研究 2022年4月号」 目次


鶏声人語

人間の欲との斗いか負の斗い

 業界の再編成が静かに進む。いや、音を立てているのかもしれない。見方によっては想像以上の速さで進む。考えられない価格を提示している生産者もいれば、量販店に価格を任せる白紙委任する生産者も出ていると関係者は言う。この情報を耳にした時の衝撃は想像を絶した。この背景には色々理由ははあるだろうが、需給バランスの崩れから来る負の結果であることは間違いのないことである。昔の業界人からよく耳にした言葉は“ ほどほどに” である。大変奥の深い言葉である。分かっていても対応できないのが人間であることも理解できるが、その逆もある。結果が判っていてもなんとかなるさの想いが負の方向へ走らす。資本の論理だけで一括するにはこの世の中無理が生じる。穀物相場、フレート料金等すべてが高騰している中にあって生産者自ら負の環境を除去することができることは生産コントロールの他に見当たらない。世界的環境(穀物、フレート等)を調整することが難しいとするならば、業界は何を成すべきかである。最終的には人間の欲との戦いとなる。

「鶏の研究 2022年3月号」 目次

鶏声人語

AWの基準作成が至急求められる

子孫を残すための斗いは想像を絶するスピードで人間社会を襲うとはウイルスの世界の話。種を残すとは生を与えられたものの本能的行動である。人間は考える力を持つが故に生物の上に君臨し、無意識の内にいや、人間にとって都合のより良い「改良」という名の下にすべてを意のままに仕切ろうとする。また、人間に都合の良いように環境を変えようとする。その結果、環境を変えるどころか、負の経過を招くことがある。2020 年の国連報告書によると1940 年以降、動物と人の間に発生したすべての感染症の半分以上は集約農業に起因するという。過度な経済合理主義は抗生物質耐性との関連が明確になっているとしている。最近アニマルウェルフェア( 以下AW) で注目される議論の中で注視されるのがより詳細な基準作成の要求である。一方、わが国の有機畜産JAS 基準は海外でも通用するといわれ、その反面、特色JAS 基準においての、AW 要求事項においては、説明が明記されていないため混乱が生じ認証機関、認定申請者にとって不利益になる、といった危惧する声もあるようだ。有機JAS 認証機関によると、2025 年の動きを受け海外でも十分に通用する平飼基準を世に発表し、独自の平飼認証を行うとの情報も流れてくる。大手流通業者、生協等がその動きに注目していると…。

「鶏の研究 2022年2月号」 目次


鶏声人語

今年も昨年同様、同時期に鳥インフルエンザ(以下AI)が奈良県で発生(結果は陰性)したと業界に情報が飛び込んできた。この数日前には北海道でマガモの斃死した個体からAI ウイルスが検出され、陽性の可能性が大との情報が流れたものの結果は陰性であった。胸をなでおろしたわけである。今年後半から来年2022 年にかけて昨年同様、発生の可能性がある旨注意するようにとの情報が流れているだけに、冬に向かい気の許せない日々が続く。本格的な寒さが到来する時期となるだけに対策をと呼びかけても限界がある。結果としては11 月3 日現在未発生となっているが、渡り鳥がすでに本州にまで飛来しているだけに気が抜けない。一方、韓国では11 月の声を聞き、オシドリからAI ウイルスが検出されたという。嫌な予感がするのは編集子だけであろうか。ジワジワと迫って来るAI ウイルス。昨年から今年前半に発生したウイルスと異なり2010 年に流行したH5N1 型とのこと。韓国で発生した場合、過去の事例から見て、わが国への侵入リスクは当然高まる。報告の遅れが拡散に繋がる。基本に忠実に対応することが求められる。

「鶏の研究 2021年12月号」 目次

鶏声人語

第2期大豆肉の時代に入った食肉(?)業界

 第2期大豆肉の時代に入った。植物から抽出され製品化された人造肉、人造肉の表現が適正であるか否かわからないが家畜から生産された肉でないことは事実である。人工肉に関する記事とアニマルウェルフェアの記事は一般紙・誌に最近よく掲載される。先日も大衆紙に植物製肉の記事が大きく報じられていた。いまや、植物製肉を食する人達はベジタリアンだけではなく、ほかの一般的消費者の人たちが食するようになったようだ。わが業界の大手ハム・ソーメーカー等からも発売されるなど、一般食に近い商品となって来た。第2期人造肉の到来の特長は、大手食品メーカーならび周辺企業からの参画もあり、資金豊富な企業による研究開発投資をあげることができる。一般大衆紙に掲載された内容によると小売業からの参画といった新たな産業の誕生ともいえる。一方、大きく報じられたのがアニマルウェルフェアで業界人が思う以上に消費者に浸透しこれまた新らたな産業の誕生と見える位、恐ろしいスピードで業界をかけめぐる。新らたな紙面でのにぎわいは消費者意識を変えるこの意識変革の裏には、流通業界の動きがあることをわすれてはならない。

「鶏の研究 2021年11月号」 目次

鶏声人語

植物" 肉" がいつの間にか
業界に鎮座


 養鶏界の技術革新を見るには展示会を見ろとは、先輩諸氏によくいわれた。技術革新は一寸目を離していると予想以上の速さで進む。その速さはシステム的なものから経済革新的なものと幅は広い。また、流通業者のなかには世界の流れに敏感に反応し、新たな物流部門へ駒を動かす。そのスピードは技術革新以上だと…。産業界そのものを根底から変える力を持っている。時には想像以上の激震が走る。個々の企業だけで解決するには難しい力を持ち、重くのしかかって来る。また、産業界を二分化する方向に動きを変える力も露呈する。資本力だけとは考えられない何かがあるとは問題に直面して初めてわかることである。一方、環境問題は畜産業界に新たな問題を呼び起こし、想像以上に速く新製品を市場に送り出す。植物から生産される" 肉" は特定な消費者向けでは無く、特殊商品では無く一般商品として流通段階に入り込む。その商品を製造するメーカーはわれわれ業界に席を置き、特別な産業から誕生したものでは無いだけに問題は大きい。いつの間にか新商品はわれわれの仲間として鎮座する日が近い将来来るのかもしれない。

「鶏の研究 2021年10月号」 目次

鶏声人語

コロナ禍 発想の転換が求められる

 早くも今年の冬に向って、鳥インフルエンザの発生を危惧する声が出て来た。その根拠は不明であるが、昨年から今年にかけ全国的に採卵鶏、食鶏に莫大な被害が出ただけにコロナ被害と重なり、心理面から危惧する空気、恐怖感から業界に自然発生的に頭によぎったと考えられる。コロナ禍お盆、夏休み等レジャーシーズンを迎えたなか、活動の自粛が求められ、人の移動制限が要請されるなか、コロナウイルスはさらに拡散される可能性がある。人間を襲うコロナ、鳥を襲う鳥インフルエンザウイルスがこれから益々二重写しになって来るのは、ごくごく普通のことである。毎回強調されることは、哺乳動物等鶏舎への侵入防止さらにその発生元を調べるとネズミの糞が鶏舎の入口にあったとか、その発生元について……となる。これら諸説について否定するものは無にも編集子は持っていないが、何にか角度を変えて、再度検討する必要は無いだろうか。研究者が同一の方向に向かってのみ行動することは、問題解決につながらないと思うのは、無知から来るものであろうか。日本の社会が求められているのはコロナ禍、発想を変えることの重要性を再認識することである。

「鶏の研究 2021年9月号」 目次



鶏声人語

多国籍コンサル企業が、AWの世界に進出

 平飼いの定義と第3 者機関による認証を求める動きもとは、前月号の本編に掲載したタイトルである。そもそもこの記事の主張したい点は「平飼いの鶏舎」の定義を平飼い卵需要が伸び、かつ高相場で推移している時だけに、なんでも平飼い、鶏舎を認めることは消費拡大の意味からもかつ消費者に間違ったイメージを植えつけることになりかねないため、現行のこの時期を除いて平飼い卵のイメージを定着される時は無いとの判断によるものである。現在、平飼いの“ 定義„と“ 認証„について3機関と詰めを急いでいるといわれる。3機関の名称は現行において発表をしてはいない。情報を整理すると、一つは環境、福祉、国際協力をメインとするNPO 法人である。あと一つはアメリカ、ヨーロッパ、日本でアニマルウェルフェアの普及に取組んでいるNPO、三つ目は、農林水産省の有機JAS 登録認証機関である。一方、最近の動きとして食品企業と生産者向けに持続可能なケージフリー卵生産に関するサポートと専門知識を提供するシンガポールを拠点の多国籍コンサルタント会社がわが国へ進出する。同社ではゲージフリー卵生産を拡げるだけでは無く、高い家畜福祉基準を満たす生産者に金銭的なインセンティブを提供するとしている。来るものが来たといった感を受けるのは編集者だけであろうか。

「鶏の研究 2021年8月号」 目次