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創刊1924年(大正13年)、通巻1000号を超えた鶏の専門誌!
― 鶏声人語 ―

第3次有機農業、畜産の到来 TPPが直接的引き金に


 有機食品の流れが大きく変わろうとしている。大手流通業界の積極的な有機食品の販売、さらには異業種である通信系・鉄道系の流通卸売業者(有機食品の場合会員制が主流)への資本参加による経営への直接参入等、TPP問題が表面化してから一挙に露呈した感が見受けられる。一方、国会議員による有機農業視察も耳に入ってくる。コンビニチェーン、居酒屋チェーンによる農業部門への参入は目を見張るものがある。この他にJRグループの有機農場経営さらには養鶏部門への取組み等、弊社が20年前に有機農業へ進出した時は現在のような流れになるとは想像もつかなかった。最近の動きとしては大手養鶏場の有機畜産進出への問い合わせが増える傾向にある反面、技術を持たない取組みは危険性を内包している。有機畜産物の基本は有機飼料の確保いかんですべてが決まる。飼料用米が増加基調にあるが有機JAS認定の飼料用米になるとわが国では2か所のみである。今後増えていくものと予想される。期待したいところである。現状では、有機JAS認定トウモロコシはアメリカ1か所、有機大豆飼料は今年10月に認定されたラオス産飼料用大豆のみで、従来は食用大豆の一部を飼料用に流用してきた。有機畜産は今後一段と伸びることが予想される。2015年が有機の飛躍の年になることを期待したい。20年の取組みを無にしないためにも。
鶏声人語

●先人の言葉が残る今日この頃
長期低空飛行の食鳥相場、やっと上伸傾向に入ったと思われる鶏卵相場。食鳥相場は回復の兆しが見えず、その反面鶏卵相場の先行きに対しては暴騰説と横這い説に分かれる。しかし数か月前までは、鶏卵価格の先行きに弱含みを唱える人が数多くいた。そして10月危機説を強調、倒産するとした企業名までが世に出回り、一喜一憂していた。ところが、上相場になった途端、危機説はどこかへ消えた。先日あるグループの情報交換会の場で、廃鶏業者の一人がこんな先行きの見えない環境は初めてだといった言葉が耳に残る。このままの状況では生産者のみならず周辺業者まで足を引っ張られると。対策費もいいが、机上の対策に過ぎないといった声もある。先人の教えでは、相場を人為的にさわると負の方が大きいという。この言葉を新鮮に感じるのはなぜであろうか。

●厚労省、豚生レバーも注意喚起
厚生労働省は10月4日、一部の飲食店で牛レバーの代替として豚の生レバーが出回っているとし、「食中毒の恐れがある」と牛レバー同様、加熱して食するべきとし飲食店や消費者に注意喚起を行い、都道府県等に通知を出した。豚の生レバーについては昔から寄生虫がいるので生では食べるなといわれてきた。“生”を食べるのは自己責任の範囲の問題として理解していたが、ついに国が動く形となった。生ものへの規制が先手先手と打たれる現実に対し、わが業界は何をすべきか先を見据えた行動が求められている。



・展望
・養鶏技術、伝えてこそ技術なり(2)
・EUの家禽および鶏卵産業の現状と将来展望(5) 
・非定型的鶏病詳論(27) 
・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能)(22)
・昭和の養鶏昔ばなし(17)

<鶏界の動き>
・「儲かる養鶏」を目指して二団体を吸収 ~(社)日本養鶏協会
・TPPが養鶏業界に与える影響について講演 ~日本家禽学会2012年秋季大会
・リスク高まるサルモネラ菌SIに対応 ~(一財)化学及血清療法研究所

・冬場のブロイラー管理ポイント(1) ~(株)日本チャンキー
・鳥インフルエンザはどんな病気か、発生したらどうするか
 ~(社)畜産技術協会
・平成24年度、夏のパック卵品質検査報告 ~(社)東京都卵業協会
・最近の病性鑑定の事例紹介 ~ (独)農業・食品産業技術総合研究機構
・安全な鶏卵を生産するために農場でできること ~農林水産省消費・安全局

・随想 こんなはずではなかった
 日本政治家のあいまいな対応をわが国、世界はどう見るか

<海外技術選集>
・カンピロバクター感染の抑制を実現した一致団結のアプローチ
・鶏の腸内健康管理における抗生物質の使用法

鶏声人語

●牛レバーの次は卵?
厚生労働省が動けば“山”が動く
 一般マスコミに掲載された「食の文化も忘れずに」の記事が食品関係者の間で話題になりつつある。その中の文章を拾うと「昨年1年間に発生した食中毒のうち、牛レバーの占める割合は約1%、生鮮魚介類によるものの20分の1以下だ。生卵のサルモネラ中毒よりも下回る。生食は、日本の食文化の華だ。禁止の波が『卵かけご飯』に及ばないとも限らない。米国では生卵の提供が原則禁止されている。すき焼きに生卵は添えられない……」というものである。この記事を見た時の驚きと、どのような対策を講じることができるのかということ。サルモネラ調査に一部の人しか協力しない事実。この記事に対し、業界はどう解決するかである。牛レバーのように厚生労働省は禁止措置を国民の命を守るとの名の下、伝家の宝刀を抜く。もちろん議論を尽くした上であるが、いつ生卵の世界にその矢が向かってくるかわからないだけに、生産者の一人ひとりの責任は重い。一般マスコミに卵がサルモネラに汚染され、生卵は……といった記事が掲載された場合、業界存亡の危機を迎える。実態把握こそ急務である。

●業界は変わる。元議員語る。
 政治の世界が党利党略によって、国民不在のまま選挙へ向かって進んでいる。マスコミは票読みに走り、他人事のようにゲーム感覚を楽しむムードがある。議員一人ひとりにとっては大変なことであるが、落選議員にとっては1日も早い選挙を、となる。先日、保守系の落選議員と話す場があった。元議員曰く、当選した暁にはわが業界を変えると。想像はつくが見ものである。




・展望
 両極に分かれる業界の行く末

・養鶏技術、伝えてこそ技術なり(1)
・EUの家禽および鶏卵産業の現状と将来展望(4)
・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能)(21)
・非定形的鶏病詳論(26)
・昭和の養鶏昔ばなし(16)

<鶏界の動き>
・平成23年度、食鳥検査等に関する実態調査結果を公表
 ~厚生労働省
・ FSSC22000(食品安全システム)認証を、(株)岡崎鶏卵グループに実施
 ~BSIグループジャパン(株)
・ 「東日本大震災復興祈念」大会と位置付け
 ~(社)日本養鶏協会北日本地域協議会他

・原発事故による風評被害はすべてを破壊する ~日本養鶏産業研究会
・エネルギー、蛋白質、リンのコストをいかに下げるかが鍵 ~(株)松阪ファーム
・安全な鶏卵を生産するために農場でできること~農林水産省消費・安全局
・随想 20年前の将来予想
 アメリカ、世界、日本経済の予測と結末

・海外技術選集
 ネズミを繁殖させないために知っておくべきこと
・海外マーケティング選集
 多様な卵の消費はベトナム経済のキーポイントになる
鶏声人語

●ローカルスーパーの環境悪化はすべてに影響が大きい
 採卵鶏生産者は原料高の製品で泣いているのになぜ静かなのか、とは業界の集まりの中で必ず出てくる言葉である。さらに、増羽意欲は旺盛で売り場はないのに羽数を増し、市場原理に基づいて市場を奪う快楽を楽しんでいるようだとも。代が替われば経営権は他へ……といった声も聞こえる。一方、10万羽規模の採卵鶏生産者は、地元ローカルスーパーと提携しながら顔の見える関係を築いてきたものの、ローカルスーパーの経営環境の悪化、いや撤退・倒産に伴い養鶏場の直接危機に直面する事態も発生している。中小規模のスーパーの撤退は野菜づくり農家にも莫大な被害を及ぼしているとも。また、地元ローカルスーパーの撤退はその地区の生活者へ多大な影響を与えているともいわれる。とくに社会的弱者といわれる老人の生活面への影響は大きく福祉の立場から流通業界の再編成をとらえる向きもある。

●ブロイラー産業救済の道はタイにあり……?
 アニマルウェルフェアの問題は予想以上に早くわが養鶏業界に襲いかかってくるとは、先日タイのブロイラーのアニマルウェルフェア実態調査に行った関係者の声である。関係者によると、タイではEUに輸出するためにEU基準を受け入れ輸出の道を切り開いているという。わが国のブロイラー産業が生き残るための策はタイにあるのかもしれない。




    ・展望
     次々と押し寄せるAWの波

    ・EUの家禽および鶏卵産業の現状と将来展望(3)
    ・養鶏事業に寄与する再生可能エネルギー導入の意義(3)
    ・昭和の養鶏昔ばなし(15)
    ・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能)(20)
    ・国際養鶏養豚総合展2012 養鶏・養豚特別講演会
     および最新資材・技術のプレゼンテーション(2)

    <鶏界の動き>
    ・新しい日本の地鶏ブランド「龍軍鶏ごろう」誕生
     ~(独)家畜改良センター兵庫牧場
    ・「さくらこめたまご」が協同組合地域貢献コンテストで優秀賞受賞
     ~京都生協
    ・「世界の★★★マック」おいしさキャンペーン記者発表&試食会を開催
     ~(株)日本マクドナルド
    ・ ミズーリ州ほとんどのトウモロコシ立ち枯れ 有機JAS審査で現地穀倉地帯に入る
    ~(株)エコデザイン認証センター

    ・家畜飼料用のアメリカ産大豆ミールの栄養について説明 ~アメリカ大豆協会
    ・安全な鶏卵を生産するために農場でできること~農林水産省消費・安全局
    ・飼料用穀物では一四三種が手続き完了 ~厚生労働省
    ・平成二四年下期 畜産関連業界・学会・研究会・大会開催一覧表

    ・随想 競争が強さを鍛える
     生き残りをかけたリーダーの宿命

    ・海外技術選集
鶏声人語

●体制崩壊は現状の流れを変える
 民主党がついに割れた。生活者の立場とは異なる角度で政治は進む。重要な問題が目白押しの状況にあっても、「まず自分」となる現状を先輩諸氏はなんと思うかである。草葉の陰からにらみつけているのかもしれない。現体制が崩壊すれば、現在の仕組みも変化することは自民党が民主党に政権移譲後の状況を見てもわかる。わが業界はどうだろうか。一党に力を入れ込み反発を買っているともいわれる。とくに落選した養鶏議員の間には、現行に対し批判の声が上がっているという。時は急激に流れ民主党の時代から三党連立といった動きもある中、主導者は方向を見失わないで欲しい。

●島取り”予想以上に厳しさを増す
 大手生産者の増羽意欲は衰えを知らず、「増羽=力」の論理で羽数は増える。九州・中国・東海・関東地域での動きは活発化している。どのくらいまで増羽すれば気がすむのか知れないが、当然“島取り”は激しさを増し、大手スーパーでは取引先の絞り込みに入った。また、大手生産者が大手スーパーに対し、これから増羽する玉を買い取って欲しいと要請した情報もあり、既存取引き先との間に今まで以上のあつれきが生じ、“生きる”戦いは激化する。その結果、特売ものは遠隔地の玉を引けばいいといったありがたくないレッテルも張られる。また取引き価格も耳を疑いたくなる価格で行われ、生産原価とは経営の数字遊びの項目に過ぎないといった見方すらある。過去・現代とも業界の流れは変わらない。その結果、生産者が激減し、僅か30数戸の生産者で生産量の60%強を握るという数字が残る。



・展望
 IPPS開催は業界に大きな影響を与える

・ウインドウレス鶏舎内におけるLED電球による照明が 卵の生産と経済性に及ぼす影響
・養鶏事業に寄与する再生可能エネルギー導入の意義(2)
・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能)(19)
・EUの家禽および鶏卵産業の現状と将来展望(2)
・非定型的鶏病詳論
・昭和の養鶏昔ばなし(14)

・3年ぶりの開催 国際養鶏養豚総合展2012
・国際養鶏養豚総合展2012 養鶏・養豚特別講演会
 および最新資材・技術のプレゼンテーション(1)

<鶏界の動き>
・欧米その他の地域における抗菌性物質の規制や
飼養、耐性菌問題への取組みについて ~(社)日本科学飼料協会

・安全な鶏卵を生産するために農場でできること~農林水産省消費・安全局
・飼料用穀物では一四三種が手続き完了~厚生労働省
・随想 責任を取らない、ということ

・海外技術選集
 給餌によって防止できるレイヤーの羽つつき
鶏声人語

●基準を厳しくしても「信頼」がなければ意味は無し
 今年の4月より放射性物質の基準が厳しくなった食品衛生法に基づき、新基準の運用がスタートしたことは記憶に新しいところである。その一方、スーパー等では安全を前面に打ち出し、消費者心理につけこみ、自主基準で対応するなど、混乱は予想以上である。農水省はこの事態に対し、食品関係機関に過剰心理をあおらないよう通知を出す等、その対応に追われている。新基準で対応しても、一番重要かつ欠落している点は“信頼”ということになる。国が新基準に基づき、安全性を判断するようにと通知を出したところで、消費者心理としては昨年の3.11以降の国の対応のまずさ、ならびに情報コントロールによる適切な情報入手が不可能なことによる不信感がより強く、“心”にはなかなか響かない。原発事故にともない、消費者間の情報交換はシステム化されているといわれる。情報発信元は知識を持った消費者で、情報を共有し合い輪を広げているという。特に3.11以降はNPO法人の立ち上げ等により正確な情報を入手できるとも。失われた信用を回復するには一通の通達だけでは解決しない。日々の情報開示こそが解決の道である。小さな子を持つ親達はすでに行動を取っている。

●制度はあってもなかなか理解されていない現実
 なぜこんなに増羽意欲が旺盛なのか。その旺盛さは並の物ではない。一方鶏卵相場は下落し、「成鶏更新・空舎延長事業」は制度ができて初めて発動となるわけだ。制度そのものが理解されずになんだかわからないうちに進む現実。生産者が首をかしげ、なかなか理解できないでいる現実。わからないからわからないでは、この先また何があるかわからない。



・展望
 比較対象となる放射性物質の基準値公表が必要

・サルモネラ点眼用不活化ワクチンの可能性(3)(最終回)
・EUの家禽および鶏卵産業の現状と将来展望(1)
・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能)(18)
・非定型的鶏病詳論
・養鶏事業に寄与する再生可能エネルギー導入の意義(1)
・昭和の養鶏昔ばなし(13)

<鶏界の動き>
・穀物の持続的供給に誇り~北米輸出穀物協会
・全国三四団体、600人の生産者がTPP交渉参加表明の反対を訴える
 ~日本の畜産ネットワーク
・低迷する卵価の上昇と卵業界活性化へ第一回タマリエ検定には58人の申し込み
 ~日本卵業協会
・創立五〇周年を迎え、さらなる「安全・安心」の供給を目指す
 ~全卵会

・震災・放射能汚染を受け、自然エネルギー・環境改善関連が多数出展
 ~2012NEW環境展/2012地球温暖化防止展
・世界への食糧輸出を増すブラジルへの農業投資の状況
 ~農畜産業振興機構
・飼料用酵素の添加による栄養成分の最大限の活用
 ~DSMニュートリションジャパン(株)
・外国産の肉への不安感が減少不景気感が節約志向に
 ~JC総研
・飼料用穀物では一四三種が手続き完了
 ~厚生労働省

・随想後継者難
 個人商店・経営者が生き残るために

・海外技術選集
 2012年の見通し:卵生産システムの未来
鷄声人語
売り先も無く新設し、危機感だけが露に
本欄で数回にわたり大手生産者を中心とするぞううの動きについて報告してきた。流通業者からの連絡によるとその動きを裏付けるような情報が寄せられ、業界の行く末に危機感を露にする。売り先も無く新設する現実。事業とはそのようなものだろうか。凡人には「?」がつきまとう。当然販売価格も耳を疑いたくなるような価格となり、“島”を取れば後はなんとかなる、とは誰もが考えること。最近では身内(?)の“島”をも取り合うところが出ていると言われ、商業道徳はこの業者に通用しない、いや、もともと無かったのかもしれない。

目が離せなくなる採卵業界
大規模生産者による問屋を中心とする流通業者を取り組む動きが活発化しだした。加入者名を見ると驚くべき人達が名を連ねる。問屋関係者の動きは理解できるが、生産者になるとまた別の問題を内包する。一方では、流通業者サイドから生産者の共同出資販売会社一本化を提案する動きもあるようだ。生き残るための動きと理解すべきなのか、それとも奥に何か含んだ動きなのか業界からますます目が離せなくなった。

自然エネルギーの活用、財界人が音頭、期待したい
自然エネルギー活用の動きが活発化し、財界からも積極的活用の声が上がり出し具体的な行動に入った財界人もいる。誰かが音頭を取り前に進む。そうでもしないとこの国はなかなか前に進まないのかもしれない。




・展望
正確な情報開示と理論武装が必要
・チキンは「買い」だ―「鶏肉の時代」来たる 1
・たまごの「おいしさ」を発揮するには 1
・ブロイラー用配合飼料とその給与パターンに関する考察 9
・非定型的鶏病詳論 14
・Eggcitingな卵の研究(卵の栄養・調理・健康機能) 8
・昭和の養鶏昔ばなし 3

<鶏界の動き>
・AI対策に業界全体が連携を
 ~日本コッブ会
・雛の能力を100%発揮できるよう努力する
 ~カントウ友の会・カントウ(株)
・ディズニーまいにちたまごを中核に経営を進める
 ~イセ食品(株)
・世界最大のジーンプール保有
 ~(株)アイエスエージャパン
・市場活性化の主力ターゲットは女性
 ~キユーピー(株)

・孵化途中卵検査装置「EVS400」発売開始
 世界初! 99%以上の確率で検出可能
 ~(株)ナベル・(株)ヤマモト
・ハエ成虫駆除用殺虫剤「アジタ(R)」発売記念セミナー
 簡単・安全・持続性の高い新成虫剤に期待
 ~ノバルティス アニマルヘルス(株)
・放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土および飼料の暫定許容値の設定
 ~農林水産省
・平成22年食鳥流通統計調査
 処理羽数・処理重量は前年並み
 ~農林水産省大臣官房統計部

・随想 節電の夏、しわ寄せについて
 社会的弱者は被害者か

<海外技術選集>
・チェーンフィーダーの再興
・魚か卵か、あるいは両方?
鶏声人語

風水効果はいかに、1月12日をたまごの日にしては……:大寒たまご

 「風水では大寒生まれの卵を食べるとお金に困らないと言われています」「2010年1月20日大寒生まれの卵で金運アップ! 風水の力で今年もいい年に! 大寒生まれの赤がら卵30個入りです! 」とはホームページのタイトルである。風水卵は2月3日までに食さないと金運効果がないという。ホームページに掲載された内容のうち特記すべき点を乱筆すると「風水とは時間や方位等あらゆる物語に易卦や干支という記号をつけて分類した上で、共通するものから規則性を見出し、次に来るものを予知するもの。一般のイメージより科学的な経験則から成り立つ知恵の集合体とも……」「中国古来から伝わる知恵は実はわれら『卵』にも及んでいるのです」「古来より中国では大寒の日頃に生まれる卵を食べると、一年間の金運が上昇する」と。超大手生産者ならびに大手生産者にその実態を聞いたところ、1月20日大寒生まれの卵は予約が相当入り、不足傾向だったとも。業界も風水にあやかって1月20日を“たまごの日”にしてはどうか。「たまごを1日2個食べましょう」より節ごとに何かの日を設けたほうが、消費拡策大に繋がるかも……。

鶏卵新規事業が真の安全対策になればいいが……?
 鶏卵価格安定基金の財源が枯渇。2月の支払いはゼロとなり、直接経営圧迫へ繋がる。農林水産省は2010年度の補填基準価格を1キログラム181円と決定。対年対比10円の落ち込みとなった。消費の落ち込みのなか、業界への影響は避けられないことは事実。一方、農林水産省は平成22年度鶏卵需要安定緊急支援事業(新規)として①成鶏更新緊急支援事業②鶏卵需要安定推進事業を打ち出した。今までにない事業だけに今後の動き、すなわち実地要項が重要となってくる。末端での“島”どりは激しさを増しているだけに……。

(2010年4月号)


4月号目次
・展望
新規鶏卵事業が業界安定の一助に……
消費者心理の冷え込みは深刻

・鶏肉の品質を向上させるために
・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(12)
・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(16)

<鶏界の技術>
強制換羽誘導用飼料、エコフィード、醤油粕、食用米の有効性探る

<鶏界の動き>
・「元気な鶏から最高のたまごが生まれる」をモットーに直販を実践
~㈳中央畜産会
・鶏卵需要安定緊急支援に36.5億円
~農林水産省
・お互いの足の引っ張り合いは安定経営にはならない
~第13回孵化場経営者懇話会
・来場1万1300名、出展数301社
~アグリフードEXPO2010大阪
・素雛生産能力は1億804万羽で同6.8%増
~平成22年レイヤー素雛計画生産検討会
・素雛生産能力は6億9,143万羽で同2.2%増
~平成22年ブロイラー素雛計画生産検討会

・着実に増加しているコフナ農産物、今後安定した販売先確保に向け支援
~コフナ農法普及協議会
・オーガニック液卵出展
~BioFach2010
・鶏卵流通統計21年下半期 鶏卵生産量、出荷量共に1.9%減
~農林水産省
・DDG(乾燥蒸留粕)の現状と課題(2)
~日本貿易振興機構
・家計消費は防衛的に
~日本政策金融公庫

<海外技術選集>
・家禽における肝臓の機能と、肝臓を健康にする薬草(上)
・飲水管理で水様性の卵を防ぐ
鶏声人語
配飼(10~12月期)値下げ幅、7-9月期値上げの約半分
 10~12月期の畜産用配合飼料価格の値下げ幅が発表されたが、トン当り平均1300~1400円台となっている。値下げ幅は小計各社一律でなく、各社の畜種別構成販売比率によって差があるようだ。また地域別、銘柄別によって異にするだけに一概にいくらの値下げとはいかないのが実情である。わが養鶏界についてみると経営間値下げ格差はつき、メーカーによる選別強化は避けられない。今回の値下げ理由は米国産トウモロコシが記録的な収穫が見込まれ相場が軟調気配で推移していることが最も大きな理由である。7-9月期の値上げ幅が2900円前後であっただけに値下げ分を吸収するとまでは行かなかったが、畜産物相場が低迷し先行き不透明感が漂う状況下、弱肉強食の論理は当然のこと横たわる。

強気に対応する大手生産者
市場確保の闘い熾烈

大規模生産者による増羽意欲は強い。鶏舎システムメーカー筋によると、予想以上に強含みに推移しているという。当然末端での市場確保の戦いはすさまじいものがあり、編集子が掴んでいる情報だけでも血で血を洗うような商権確保のための先行きの見えない市場争奪戦が行われている。売り場の無い玉が今後またまた出てくるわけだが、末端消費の落ち込みは想像以上に厳しく、スーパーから出てくる客の買い物袋の数は少なく、必要最小限の購入に手がけている状況下にあるとの報告もある。買い物袋を手にする数は消費心理と消費者の経済環境悪化の表れだけに、冷静な判断が求められる。勝ち残れると思っていた経営体が「負け組み」となることは過去の事例でもわかるとおりである。

(2009年11月号)



11月号目次

・展望
 大規模生産者には自由主義的発想を

<養鶏技術>
・飼料米に適する専門品種(1) 加藤浩
・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(11) 加藤宏光
・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(7) 横関正直

<鶏界の動き>
・第90回技術ゼミナール 日本チャンキー協会
・群馬県総合表彰受賞記念祝賀会 ㈱トマル・都丸高志氏
・第5回ハイライン会議開催 ㈱ゲン・コーポレーション
・ワクモの現状と対策をテーマに情報交換 日本家禽学会秋季大会
・消費量・輸入量、ともに前年同期比下回る 全国ブロイラー需給調整会議
・合計100万羽の飼養増の意向 全国鶏卵需給連絡会議
・「スキ!スキ!すき焼き」キャンペーン実施 イセ食品㈱、ヤマサ醤油㈱

・鶏卵自給率70%、鶏卵96% 平成20年度食料自給率
・供給価格、1400円値下げへ
・フードチェーンブランドセミナー2009 日本イーライリリー㈱

・畜産農場HACCP認証基準公表

<海外技術>
・保管温度は孵化率と雛の品質を維持する重要な手段となる
・生産性向上の基礎となる良質な水








鶏声人語
民主党の政策が、寡占化が進む業界に反映されるか注目


 衆議院選挙の結果は、民主党の一人勝ちとなった。自民党の畜産関係議員の大半が落選し、自民党にとって最悪の結果とはった。マスコミ関係の事前調査でも民主300議席確保確実といった予想がなされていただけにその結果が注目された。日本中が期待と不安の渦に巻き込まれている中になって、わが業界にとってプラスに動くことを期待したい。弱者救済の論理に立つ民主党の政策を早く見たいもの。その政策が、寡占化が急激に進む養鶏界にどのような形で反映されるのか注目されると同時に市場の論理を振りかざす大規模生産者へのなんらかの対策を期待したいもの。

鶏卵業界のインテグレーション化着実に進行 
中規模採卵鶏生産者の倒産が業界を駆け巡る。さらに大規模生産者の買収ならびに増羽、新設の動きが業界を走る。この流れはいつの世にもあることだと驚きに価しないとこ声が強い。その反面、不安がつのる。大規模生産者、中規模生産者との生産費は異なるものの、基準となる相場は同一である。最近の傾向として注視すべきことは、鶏卵のインテグレーションが急激に伸展しだし、それに伴いはみ出された玉の行き場がなくなり、傘下に入った生産者の玉を中心に動きだしている事実である。流通の変革が想像以上に進み、ブロイラー並みとは進まないだろうが、着実に方向転換している。ブロイラー産業の構造を再検証してはどうか。

二重構造が進む採卵業界 
 相場が上伸しても「笑えない」生産者。消費の低迷から売り場のなくなった生産者にとって、先行きに不安をかくしきれない。過去鳥インフルエンザの発生時を除いては、玉が動かなかった時はなかったとぼやく生産者。相場は完全に二重構造となり、この先業界の構造変化が進めば、さらに二重構造は進む。

(2009年10月号)



10月号目次
<展望>
大手商社も中国産有機飼料(4混)を輸入

<養鶏技術>
「買い手が考える鶏糞」7
健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる10
ブロイラーの禁止廃棄率の改善6

<鶏界の動き>
飼料稲の情報交換行う・・・・・・・・・・㈳中央畜産会・㈳奈良県畜産会
来場1万2600人、出展数529社・・・・・・・・・・アグリフードEXPO2009
飼料畜産業界の最新情報交換行う・・・・・・・・・・伊藤忠・JNC・バイオミン飼料畜産セミナー2009

<随想>
素晴らしい日本人 人と人とのつながりが重要

<海外技術>
代替飼料原料で飼料コストを下げる
H9N2不活化ワクチンは養鶏業の経済損失を制限できる

その他、国内外の養鶏関連情報をお届けしております。
鶏声人語
産消提携国際会議、来年わが国で開催
 産消提携の国際会議が2010年2月下旬に神戸市で開催される。産消提携は
消費者と農業生産者による命を守る運動として誕生したものだが、わが国で
初めての国際会議開催となる。小さな種が拡散し林となり森となる。まさに
産消提携運動はその見本ともいえる。この林を森にするものも元に帰するも
消費者と生産者の目的意識に関わってくる。

大規模生産者は範を示せ
業界危機脱皮のために

 中規模クラスの採卵鶏生産者から大規模生産者に対し、率先して減羽を
進めるべきだと怒りの声があがっている。大規模生産者は買い手側からの
要求に応えるために減羽要求に応じられないといった声が届く。それぞれの
立場によって言い分はあるだろうが、現在の今日状況は大も中小とも経営
危機を迎えつつある。いや、迎えている。それだけに大規模生産者が範を示し
業界の流れを健全化すべきである。業界の主導者たる生産者は、特に範を
示すべきである。

着実に増加傾向にあるオーガニックエッグ
 有機JASの登録認定機関によると最近の傾向として、中小商社からの認証の
申請が増える傾向になる。この流れに対し認定申請者は、デパートが安心できる
商品の代名詞として、有機JASの認定取得商品を要求するという。この傾向は、
高級量販売店においても当然のことと受け止められている。また最近急に問い
合わせが増えだしたのが卵の有機JASの認定に関する件で、その認定基準等を
説明するとそんなに厳しいのかと身を引くという。現在のところ、わが国では2か所
のみ認定を取得しているが、その数は間違いなく着実に増えようとしている。

(2009年9月号)

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9月号目次

<展望>
業界に対する発言を積極的におこなうべき

<養鶏技術>
動物福祉に配慮した家畜管理システム開発への行動学的アプローチ(下)
健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる9
ブロイラーの禁止廃棄率の改善5
「買い手が考える鶏糞」6

<鶏界の動き>
飼料自給率35%目標………平成21年度第3回畜産部会
経営安定化に向け養鶏のあり方を検討………第1回養鶏問題懇談会
全国直売交流会を開催………㈱後藤孵卵場

国際養鶏養豚総合展2009特集
8年ぶりの開催、8485名が来場

<随想>
なろうと思えばホームレスにもなれる豊かな国(日本)

<海外技術>
将来の課題解消へ、養鶏業界全体で取組みを
地球温暖化は畜産業界においても重大な問題である

その他、国内外の養鶏関連情報をお届けしております。
鶏声人語
「卵はコレステロールが一番多い」とは
厚生労働省のホームページ、業界は即申し入れを

 厚生労働省の「高脂血症ホームページ」(監修・(財)日本循環器病研究振興財団)の質問コーナーに採卵業界にとって無視できない内容が掲載されている。質問コーナーの1項目であるが全文をあえて掲載する。Q1・コレステロールの多い人と中性脂肪の多い人では、注意すべことが逢うかな?A・「高脂血症を防ぐ食事の基本」のうち、1~4はどちらにも共通ですが、5と6はそれぞれ別個の注意点ですね。コレステロールの多い人は動物性脂肪を減らすこと。肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリームやアイスクリームは、コレステロール値を上げやすい食品なので、とり過ぎないように。つぎに、コレステロールの多い食品は控えめに。とくにコレステロールが多い卵は1日1個が限度です。中性脂肪が多い人は油脂、糖質、とくに砂糖を含むもの、それから果物を食べ過ぎないでほしいですね。これを読んで業界は何と感じどのような行動をとるかである。秦界団体は卵のコレステロール問題について各方面から講師を招き消費者等を対象にした講演会を催しているが、厚生労働省のホームページは業界に重くのしかかる。早く何らかの対象を講じなlナればその影響は大きい。卵の消費が後退し、業界全体が危機状況に陥っているだけに、一刻も早く厚生労働省へ申し入れを行うべきだ。1日数個食べても問題はないと科学的裏付けを持って直訴しなければ、卵はコレステロールが一番多い食品と決めつけられる。いや、現状すでに決めつけられているわけだ。老人社会を迎えるわが国にとってますます業界として無視できない。

(2009年8月号)


8月号目次
<展望>
利益出す経営者の言葉は重い

<養鶏技術>
成鶏用飼料の定量制限給与による休産処理法
連載・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(4)
連載・買い手が考える鶏糞(5)
連載・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(8)

<鶏界の動き>
・アメリカの生産量は今後も増加傾向
 ~アメリカ穀物協会
・前年度比101.1%の微増
 ~主要産地協議会
・ブランド卵の表示を明確化
 ~鶏卵公正取引協議会設立
・供給価格2,800円値上げ
 ~JA全農

<随想>
郷ひろみとGM破綻

<海外技術>
・アニマルウェルフェア、中長期的なシナリオへの対応を
・トリメタニューモウイルス(3)

この他、養鶏業界の国内外の出来事等を掲載しています。
鶏声人語
大規模生産者の自主的な減羽を主導者としての範を示すべき
 低空飛行する鶏卵相場。基金加入者と未加入者の経営間格差が広がり、このまま推移すると“危機”という言葉でほ表現できない事態にになることは誰しも理解できるところ。流れ出る情報は、○○銀行が○○生産者への融資をストップしたとか経営の根幹をなす話題ばかり。原料高の製品安さらに市場には玉があふれ、荷受筋ではさらなる廃鶏の出荷を呼びかける。需要と供給のバランスが崩れている以上、需要に見合った供給しか危機からの脱皮はないとも。このまま推移すると当然のこと、鶏卵基金の財源そのものが枯渇する。さらに7~9月期の配合飼料価格の値上げが伝えられるだけに、特効薬はないがそれに近い措置は減羽しか道はない。とくに大型養鶏の中でも、大きいことは良いことだ的発想で増羽した生産者は、自主的に大幅な減羽措置を講じるべきである。養鶏業界の主導者は模範をこういう時こそ示してもらいたいもの。

注目を集める有機畜産物、飼料問題が鍵
 鶏卵、ブロイラー両相場が低迷している中、有機畜産物の認定商品が高級スーパーを中心に注目を集めている。わが国で有機畜産物と称される製品の数が少なく、豚肉、牛肉はゼロで、鶏卵、ブロイラー、牛乳の3品目のみ。現在認定を受げている生産者は、鶏卵2軒(この内スーパー等市場こ出ているのは1軒)、ブロイラー1軒、牛乳8軒で、その他に配合材料工場2軒(中小家畜飼料工場1軒、大家畜1軒)。有機畜産を認定できる農水省登録認定機関も9法人でその内実績のある機関は4機関。さらにブロイラーの認定となると1機関のみである。有機畜産物が伸びる鍵は飼料問題で、飼料問題こ前向きに取り組むNPO法人も誕生している。

(2009年7月号)
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7月号目次
<展望>
畜産農家へ販売する飼料用MA米の意味するもの

<養鶏技術>
動物福祉に配慮した家畜管理システム開発への行動学的アプローチ(上)
連載・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(3)
豚インフルエンザウイルスに起因する新型インフルエンザのい発生と流行
連載・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(7)
連載・買い手が考える鶏糞(4)
シリーズ・鶏糞処理・悪臭対策(64)~(有)松川養鶏場

<鶏界の動き>
・オルタナティブシステムでも良好な成績~ジュリア会議
・「水田フル活用元年」として飼料米推進へ
 ~飼料自給率向上会議
・養鶏業界からも多数出展
 ~国際食品素材添加物展

<随想>
現代日本語考~言葉遣いの乱れが示すこと

<海外技術>
・清潔な餌で飼育された鶏から抗生物質耐性菌が見つかる
・トリメタニューモウイルス(2)

このほか、養鶏業界の国内外の出来事等を掲載しています。
鶏声人語
自分の責任で結末を迎え生きる目的、経営の目的を問うことも必要

 生き残れると思い増羽に走り、行きつく先は倒産・廃業とは現在のわが巣界の悲しい姿である。羽数をカットするにも金がかかり国の維資金を要請すべきだといった理に合わない声も聞こえる今日この頃。勝てる、いや生き残れると思い、自分の責任で増羽に踏み切り自分の安住で結末を迎える。仕方のないこと。周辺企業には誰からも救済の手が差し伸ばきれず静かに消えさり、その教がなんと多いことか。わ養鶏業界誌・紙も昭和40年代に11社あったものが現在では4杜のみである。時代の流れはかくも冷たいものかと思う今日この頃である。また、生きるということは厳しいものであることを教える。生きる目的は、経常する白的は何にかである。企業はなんらかの手を打たなければ倒れることは当り前のこと。業界も同じである。目分のところだけは……では適用しない。

経営者とは人をつくり、身の丈を知ること
 先日業界の名の通った生産者が、売り先のないまま羽数を増やし、経営危機に陥ったとの情報が入った。最近まこの手の情報が各方面から寄せられる。過去あまり経験したことのない流れである。大型と称する業界主導者の経営危機が伝えられる等、その流れは規模に関係がない。その一方では、卵価基金の補填金を換算すると経常的には黒字だという生産者もいるわが業界。能力以上に羽数を持つことはやけどをさらに広げるということを教える。経営者とは人をつくり、身の丈を知るということとは先代のお教えである。

(2009年6月号)
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6月号目次
<展望>
意図的と思える情報は業界混乱のもと

<養鶏技術>
夏期における採卵鶏の卵質低下防止技術
連載・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(6)
連載・買い手が考える鶏糞(3)
連載・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(2)
夏場の管理はヒートストレス対策が重要~日本チャンキー技術ゼミナールより

<鶏界の動き>
・仙台で市民公開シンポジウ開催~イシイ寄付講座
・国と都道府県の緊密な関係を~家畜衛生主任者会議
・多くの食肉製品・関連機器が展示~第35回食肉産業展2009
・タマゴのコレストロールは悪くない~鶏卵とコレステロール国際フォーラム2009

<随想>
安売りスーパー・アウトロー、再生産可能な価格をいかに維持するか

<海外技術>
・抗コクシジウム症ワクチン接種は抑制プログラムの代替手段に
・トリメタニューモウイルス(1)

このほか、養鶏業界の国内外の出来事等を掲載しています。
鶏声人語
 100年に一度あるかないかの不況とは誰しもが言う言葉。テレビでは大手スーパーによる過去に見たことのない消費者への変な“謝罪広告”。その内容からすると、そのつけは生産者、製造業社へ。さらに大手スーパーのPB商品の氾濫も行きつくところは生産者、製造業者への負担となる。スーパーのPB商品のブーム(?)は加速的に全商品へ及びつつある。また、PB商品を競合他社へ販売するといった動きもあるだけにその流れを注視する必要がある。PB商品は内部監査システムが導入されているものの、二者認証的色合いが強い。当然二者認証のいきつくところは、第三者認証である。監査および認証業務には経費がかかることだけは理解すべき。

 スーパーの生産者への無謀とも言える攻勢や要求が一段と激しさを増しているとは関係者の言葉。また、生産者が直接他の島をとるために商業道徳を無視した形でスーパーの取り合いが激化している。「適正価格」とは名ばかりで、販売先を確保しなければ入口が閉ざされている現在、血で血を洗う業界に突入していると言っても過言ではない。力なき生産者は脱落し借金地獄の道をひたすら走り、基金がなければすでにお手上げの状態。この状況は規模には関係ないこと。中規模クラスで減羽をし、基金に加入している黒字経営者曰く「全農はおもいっきり相場を需給実勢に戻し早く正常な状態にすべきで、基金の財源が底を突くくらいの荒治療をしなければ、先行きに光明を求めることは不可能だ」と。
 結論は一つである。業界をあげて減羽しなければ、先行き真暗である。大規模生産者の耳を疑いたくなるような情報が流れてくる今日この頃。自分だけは……過去の話にあることを他業種が教える。

(2009年5月号)
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5月号目次
<展望>
正論がとおらない業界では若者は口をつぐむ
 ~大手スーパーの「謝罪広告」の意味するものは?

<養鶏技術>
愛知県で発生した鳥インフルエンザ
鶏糞の燃焼処理と灰の有効活用
連載・健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる(5)
連載・買い手が考える鶏糞(2)
連載・ブロイラーの禁止廃棄率の改善(1)
シリーズ・鶏糞処理・悪臭対策(63)~松本ファーム(有)

<鶏界の動き>
・(有)鈴鹿ポートリーが奨励賞 環境保全型農業推進コンクール
・関西圏へよりスピーディーな配送~(株)ヒノマル新本社竣工
・アジア最大級の食品・飲料専門展示会~Foodex Japan 2009
・1.1%の増加傾向~全国鶏卵需給連絡会議
・飼養規模30万羽以上が5割に拡大~全国ブロイラー需給調整会議
・アニマルウェルフェアに関心70.7%、共感75.7%~農業と動物福祉の研究会シンポジウム

<随想>
『反貧困』という本を読んで~「弱者」をめぐる視点

<海外技術>
・感染性気管支炎を制御する方法
・デスチラースグレイン中のマイコトキシンは深刻な問題を引き起こす

このほか、養鶏業界の国内外の出来事等を掲載しています。
多面的な原因解明を、Al問題
 今年も高病原性烏インフルエンザの発生はないものと業界人誰しもが願い信じていた。ところが愛知県豊橋市のウズラ農家から発生、業界に激震が走った。発生元は大手ウズラ生産者であるが、養鶏主産県であるだけに、問題は深刻である。原因は現在調査中であり、詳しく申し述べること差し控えるが、原因あっての結果であるだけに早急な結論が求められる。現在の段階では、野鳥による伝播と人による伝播の2つの説が有力と言われるが、国立感染症研究所昆虫医科学部の澤邊京子らが本誌に連載で発表したAIとクロバエ類との関わりについても調査してもらいたいもの。考えられる点すぺてを議論の場にあげ、1つ1つ検討を加え、その結論を早く発表することが、業界の求めるものである。

真実は1つ、丁寧に情報処理を
 尻に火がついているから組織活動どころではないとは、業界の著名な方が、ある情報交換の場で言った言葉。1度ロから出た言葉はまことしやかに流れ出る。飼料メーカーが過去のように金融歳閑にはなれず、手形のジャンプ位が関の山とは飼料メーカー筋の話である。流れ出て来る情報は世情を反映した重い言葉であり、そこには“真実”というあって欲しくない事実がある。情報を見抜く力がなげれば大変な事態をも招く。またうわさをうわさとして処置すると、後で大変な事態を招くことが多い。わが業界はまさに各種情報が錯綜し、1つ1つ情報を丁寧に処理しなけれぱババを掴むことになりかねない。真実は1つである。

(2009年4月号)
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4月号目次
<展望>
消費者に正確な情報をいち早く提供すべき

<養鶏技術>
・シリーズ 「健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる」(4)~加藤宏光
・シリーズ 「買い手が考える鶏糞」(1)~三重県農業研究所・村上圭一研究員

<鶏界の動き>
・7万8,000人を集め盛況~スーパーマーケットトレードショー
・鳥インフルエンザの生態解明研究に畜産大賞 (社)中央畜産会
・養鶏に関する研究成果を発表 千葉県農林水産技術会議
・鶏種導入計画を発表 レイヤー、ブロイラー素雛計画生産検討会議

<随想>
景気後退と農業~農業に注目が集まる今、養鶏業界が時代に残されないために

<鶏界情報>
・カリフォルニア州でゲージ飼育廃止へ~孵化場経営懇話会講演より
・昨年より展示規模拡大~BioFach2009
・コフナ農産物への取り組み、消費者へのPRをどうするか~コフナ農法普及協議会
・消費者の食の経済志向が上昇~日本政策銀行

<海外技術>
・黒頭病の解明と治療の第一歩
・バイオセンサーでAIウイルス検知が数分以内に

このほか、養鶏業界の国内外の出来事等を掲載しています。
鶏声人語
認可作業を急ぐ前に計画的な対策を講じるべき
 
 鶏卵の公正取引協議会の公聴会が1月26日に開かれた。公聴会へ参加した傍聴者の立場によって、当然解釈に差があるようだ。しかしゲートは着実に開けられようとしている。“公正”マークのついた卵が市場に出るのも秒読みに入った。ブランド卵と称するものが、“タマゴ博物館”によると1,000を超える状況下、どの様に対応するのか混乱する可能性が十分に考えられる。具体的な体制づくりはこれからだと思われるが、牛乳のように大手4社で過半数以上のシェアを占めると業界と、鶏卵業界のようにブランドが乱立している業界とでは認可する仕組みそのものを変えなければ混乱は避けられない。それだけに慎重に対応することが求められる。“公正”の持つ意味を理解した上で対応してもらいたいもの。認可を急ぐ前に計画的な策が求められる。

わが国にはアニマルウエルフェアの下地はある
 今年の大きな問題は飼料の動静以外に前述した鶏卵の公正取引協議会問題と、アニマルウエルフェア問題である。アメリカカリフォルニア州で法制かされたアニマルウエルフェアの影響はわが国にも微妙な影響を与えるといわれる。日本型のアニマルウエルフェアを強調しすぎるとアメリカに拠点を持つ外食産業からの有言・無言な圧力が加わるともいわれる。わが国には動物愛護法が施行されているだけに下地がすでにあることを前提にどう問題を考えていかなければならない。

(2009年3月号)
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3月号目次
<展望>
公正マークの持つ意味を再度確認すべき

<養鶏技術>
・フスマを主体とした低エネルギー飼料給与による誘導換羽 石川正義
・シリーズ 健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる3
~健康な鶏群の指標  加藤宏光
・鶏糞焼却灰からのリン化合物回収技術の可能性と展望 土手裕
・岡崎おうはんの開発と普及 米田勝紀

<鶏界の動き>
・茨城で発生したAIの対応等の功績 旭日双光章受賞祝賀会
・家畜排泄物の対応状況 農水省
・バイオエタノール政策の影響は今後拡大 農林水産政策研究所
・飼料用穀物消費、34%伸びる 2018年における世界の食糧需給の見通し
・飲水の浄化で、鶏の健康を守る ㈱ミヤリサン
・粗粒穀物の生産量は前年比1.7%増 
・年々排泄物発生量は低下

<海外技術>
・ブロイラーにおける脊椎炎は浮上してきた新しい課題か
・給水システム用洗浄剤を評価する

このほか、養鶏業界の国内外の出来事などを掲載しています。

鶏声人語
2009年自らの意識によって事故を避けるべき
 原料高に泣く一年とは昨年の話である。一方、製品価格になるとその鍵は生産者自身が握っている。もちろん、消費者も違ったかたちで鍵を握っているが…。一番大切なことはこの原料安を生産者がどうとらえるかである。過去と同じ発想で対応しようとするならば、必ず事故がおこる。同じ徹を踏むのが、わが業界の特徴であるならば2009年は自らの意思によって避けようではないか。繰り返すことによって中小生産者は業界から撤退する。いや消される。すでにそのような流れが始まった。弱肉強食の世を求めることは、己もいつかは食われる側に組み込まれる。力対力の闘いとはその様なものである。弱者対策をいう業界が、いつの世も具体策を提示したことは無い。

世界情勢によって国産穀物(飼料米)問題を流すな
 多事多難な2008年も幕を閉じ、2009年を迎えた。2009年は、2008年に比較すると良い年といえる。2008年は2006年10~12月期から始まった配合飼料価格の値上げの最後の年となった。この間配合飼料価格は連続8回の値上げを繰り返した。これだけ長期にわたり、また連続して四桁台の値上げになったのはこれまで経験がなかった。それだけに国内の畜産業界に与えた影響は大きい。2009年は“架空経済”の崩壊により、業界にとってプラスとなり、徐々にであるが落ち着きを取り戻しつつある。これからが重要となる。国産穀物(飼料米)問題も今回の世界情勢によって見失ってはならない。昨年の経験を無視することは国民生活まで影響することを意味する。

(2009年2月号)
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2月号目次
<展望>
“架空経済(?)”の失敗は、業界をプラスに

<養鶏技術>
・シリーズ 健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる2
~タマゴの構造を知る  加藤宏光
・わが国におけるサルモネラ食中毒発生状況とその予防策 木股裕子
・バイオマス利活用としての鶏糞発電 毛利邦彦

<鶏界の動き>
・配飼価格トン当り1万2,200円の値下げ JA全農
・農林水産関連予算は2.9%減 平成21年度農林水産省予算概要
・鳥インフルエンザへの危機管理を 鶏病事例検討会
・採卵の基準案、年度内に取りまとめ AW検討会第2回推進委員会

<鶏肉・鶏卵動向>
・1戸当りの平均飼養羽数は一貫して拡大傾向 農水省生産局畜産部食肉鶏卵課

<養鶏研究>
・AI、AW、食品の安全性など幅広く情報交換 第6回養鶏産業研究会
・新コッブの性能を最大限に生かす 日本コッブ会技術部会

<海外技術>
・迅速な血清型決定がサルモネラ低減をサポートする
・新しいエネルギー源としてのシュガーシロップ(下)

このほか、養鶏業界の国内外の出来事などを掲載しています。
鶏声人語
2008年から2009年へむけて業界全体が荒れ模様

 12月の声を聞き、大手生産者から前倒しの廃鶏出荷が多くなってきた。親雌処理業者の
全体的稼働率は60%くらいとみられ、急激に処理羽数の増加が予想される。南米産(チリ・
ブラジル産)ブロイラー肉は、半値以下でわが国へ輸入され、商社の中には、玉を抱えすぎ、
身動きできない状況にあるようだ。一方、鶏卵は加工筋関係が既に手当て済みの状況で、
大手生産者からの投げも加わり、市場は混乱傾向にある。この状況を危機と表現し、早急な
淘汰を荷受筋では求め、関係機関へ説明・協力要請を行っている。また孵化場筋では、
生産者が12月の高相場を見込み手形落ちのところが相当数に上り、対策に苦慮している
といった情報もあり、2008年から2009年へ向けて業界全体が荒れ模様である。12月相場が
暴落すると最悪な結果を招くといった流れがある。止市と初市が2009年を見る上での鍵となる。

技術革新と経営効率、生産効率の改善を忘れずに
 経営環境は世界的大不況による消費の大幅交代に伴い「需要に見合う生産、製造を」との
声が産業全体に響き渡り、日々刻々と変わる世界経済の流れを敏にとらえ、対策を講じている
といった産業界トップの考えが伝わってくる。また、技術革新は不況のときに始めて光を浴びる
とも言われ、積極的に対策を講じなければわが国の将来に黄色信号が点灯するとも。当然、
わが業界にも同じことが言えるわけだが、技術革新と効率改善は立ち止まってはいけない
問題である。業界は技術革新と効率改善の意味を再確認すべきである。企業は利益率よりも
利益額が重要といわれるように生産段階においても、増羽よりも、その増羽に見合えるような
技術革新と効率改善が求められる。現実に、60万羽規模の中には生産効率の改善によって
無借金の生産者がいる。問題なのは取り組む姿勢である。精神論ではなく、経営者としての
理念であり、経営力である。経営効率改善の原点は鶏舎にしかないことを忘れないでもらい
たいもの。周辺を叩く前に、自己を叩くことを忘れずに。鶏が産むのではなく経営者が卵を産む
ことも忘れずに。他力本願と被害者意識はこの業界の特徴だというが、厳しい環境というならば、
やるべきことがあるはず。100年に1回あるかないかと言われる世界大不況下、従来と同じ行動
では業界は負の方向に向かう。

(2009年1月号)
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1月号目次
<展望>
負の材料ばかりではない2009年

<養鶏技術>
・新シリーズ 健康なニワトリから健康なタマゴが生まれる1
~ニワトリがタマゴを産む構造を知る  加藤宏光

・移動禁止時におけるブロイラーの増体抑制法(下) 高橋和昭
・鶏糞セラミックスを用いたバイオセキュリティの強化 竹原一明

<鶏界の動き>
・全国のユニーク商品が集結 フードセレクション2008
・家畜糞堆肥の利用について研究会 畜産草地研究所
・九州に常設展示場をオープン 東西産業貿易
・アジアのAIの現状について情報を共有 OIE鳥インフルエンザシンポジウム
・農林水産大臣賞最優秀賞に株式会社南勢養鶏 中央畜産会
・今冬に備えAI防疫演習実施 静岡県

<鶏糞処理・悪臭対策>
焼却処理から発酵処理へ変更、良質な堆肥生産で循環型農業の確立を目指す
東北ファーム

<飼料米>
「超多収飼料米が畜産大パニックを防ぐ」シンポジウム

<海外技術>
・脚部を正常に保つことが成長に欠かせない要素
・新しいエネルギー源としてのシュガーシロップ(上)

このほか、養鶏業界の国内外の出来事などを掲載しています。
鶏声人語
わが業界にクレーム後の回収基準はあるか

 大手食品加工メーカー「伊藤ハム」東京工場から有害物質のトルエンが検出されたことは一般紙・TVなどで報道され、製品の回収が行われたが、ここで問題になるのが回収基準である。我われ養鶏関係を見たときに、レイヤー・ブロイラー業界で独自の回収基準を作成し、マニュアル化しているところが、どの位あるのか。回収基準以前に採卵業界で「高病原性鳥インフルエンザ発生対応基準」を作成しているところはほとんどないのが実情ではないか。また農場チェックリストを詳細に表にしているところは少ない。当然のこと回収マニュアルなるものは、特定の養鶏場を除いて存在しないのが実情と見られる。マニュアルは己を守る武器となることを肌で感じてもらいたいもの。


過去のしがらみと猿山的発想の中止を

 わが養鶏業界の主導者は民主主義教育を受けているのだろうか。民主主義の根底にあるものは少数派の意見を大切にし、組み入れながら組織を運営すべきというものである。最近の流れを見ていると「この指止まれ」的発想が目に付くことがある。自分の考えに反する相手を排除し、仲間社会を形成する。このように思うのは編集子だけであろうか。先行き不透明感漂う業界にあってなぜ業界は一つにまとまれないのか。業界の主導者の責務は、業界を一本化し、過去のしがらみを捨て未来に進むことである。このままでは次の世代に悪い影響を与え、業界活動に見向きをしなくなる。そういう声も届いていることを付記する。

(2008年12月号)

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12月号目次

<展望>
鳥インフルエンザ対応マニュアルの構築を

<養鶏技術>
・将来のために鶏用飼料はどうあるべきか?4 松下浩一
・移動禁止時におけるブロイラーの増体抑制法(上) 高橋和昭
・高病原性鳥インフルエンザの発生を未然に防ぐために 星野和久

<鶏界の動き>
・高まるアグリビジネスへの関心 アグリビジネス創出フェア
・生産性を維持することは必須条件 畜産草地研究所
・企業間の表示バラツキ是正を 日本トレーサビリティ協会
・住民投票でケージ飼育禁止に 米国カリフォルニア州

<アニマルウェルフェア>
・アニマルウェルフェアへの認識はこれから。策定プロセスを注視していきたい
・アニマルウェルフェアをめぐる行政の動き

<海外技術>
・低温殺菌された卵製品は安全記録が確定する
・世界の経済動向と鶏肉市場の今後(下)

そのほか、養鶏業界の動向等をお伝えしております。